技能実習について

 日本では単純労働について、外国人労働者を受入れない政策をとっており、専門的・技術的な知識と経験を有しない外国人労働者は受入れないという基本方針となっています。 研修・技能実習制度は、開発途上国等の青年を、一定期間日本の機関に受入、日本の技能・技術・知識を修得させることにより、開発途上国等へ技能等の移転を目的として創設されました。

「技能実習」の種類

 「技能実習」の在留資格は、その活動内容から技能の習熟度に応じて「技能実習1号」と「技能実習2号」に分けられ、「技能実習1号」は上陸時に講習及び技能等を修得する活動を、「技能実習2号」は、「技能実習1号」で修得した技能を同一機関において、さらに習熟する為の活動を行うものです。 また、この技能実習1号及び2号は、受入管理する団体等により「イ」と「ロ」に分けられ、海外にある合弁企業等の社員を受入れて企業が単独で技能実習を行う「企業単独型技能実習」の「イ」と商工会等の営利を目的としない団体の監理の下で傘下企業などが実習生を受入れて行う「団体監理型技能実習」の「ロ」に分けられます。 よって、「技能実習」には、以下のように4つの在留資格があります。

受入団体別 講習及び技能を修得する活動 在留資格変更 技能を習熟する活動
企業単独型技能実習 「技能実習1号イ」 「技能実習2号イ」
団体監理型技能実習 「技能実習1号ロ」 「技能実習2号ロ」

企業単独型とは・・・日本企業の外国にある支店・合弁会社・子会社又は事業上関係を有する外国企業の職員で、転勤又は出向する者を技能実習生として日本企業が受入れるものです。
団体監理型とは・・・商工会議所・商工会、中小企業団体、農業協同組合、漁業協同組合、社団法人・財団法人などの監理団体が、外国の送出し機関から技能実習生を受入れ、団体監理の下、傘下企業において技能実習を行うもので、技能実習生と傘下企業の実習実施機関が雇用契約を締結します。 よって、監理団体は、職業安定法に基づき、無料職業紹介事業や有料職業紹介事業の届出・許可を得ることになります。

「研修」について・・・「研修」については、民間企業が受入れる場合には、非実務研修のみを行うものに限定され、国・地方公共団体・独立行政法人が自ら受入機関となるものなど公的な研修についてのみ実務研修が認められます。

在留資格 雇用契約 実務研修 在留期間
技能実習1号 必 要 認められる 1年又は6月
技能実習2号 必 要 認められる 1年、更新により1号と
通算して最大3年
研  修 不 要 公的研修のみ実務研修が認められ
民間企業受入は非実務研修のみ認められる
1年又は6月

「技能実習1号」と「技能実習2号」の違い

「技能実習1号」は、技能等を修得する活動で、講習が義務づけられています。
「技能実習2号」は、1号で修得した技能等をさらに習熟する為に行う活動で、「技能実習1号」から「技能実習2号」への移行は、技能検定基礎2級又はそれに準ずる検定・試験に合格していることが要件となっていますので、「技能実習2号」へ移行を予定している「技能実習1号」で行う活動は、移行対象職種に該当するものでなければなりません。 「技能実習1号」の技能修得活動に従事した後、帰国する場合には、職種・作業は限定を受けませんが、同一作業の反復のみによる修得可能なものは対象外とされます。

在留資格 主な活動内容 職種・作業内容
技能実習1号 技能等を修得する活動 同一反復により修得可能な
ものは対象外
技能実習2号 1号で修得した活動を
さらに習熟する活動
移行対象職種66職種123作業で
技能検定等に合格していること

1号から2号への技能実習変更・・・上陸時には講習及び技能修得活動に従事するものとして「技能実習1号イ」、「技能実習1号ロ」の許可を受け、その後、技能の習熟活動へ移行する場合には、それぞれ「技能実習2号イ」、「技能実習2号ロ」へ在留資格の変更許可を受けることになります。  なお、このとき、「技能実習1号イ」→「技能実習2号ロ」、「技能実習1号ロ」→「技能実習2号イ」へは変更できません。

改正された研修・技能実習制度のポイント

技能実習1号から雇用契約に基づく労働関係法令適用・・・「技能実習」の在留資格は、所定の講習を受ける期間を除き、1年目から雇用契約に基づき労働関係法令が適用されます。

所定の講習とは・・・入国後の「講習」が義務化され、企業単独型の場合は実習実施機関が、団体監理型の場合は監理団体が、技能実習生に対し以下の講習を、技能実習1号の活動に従事する予定時間の1/6以上実施することが義務づけられます。 なお、入国前に①+②+④で160時間以上などの一定要件に適合する講習を受けると、入国後の講習時間が1/12以上に短縮されます。
① 日本語
② 日本での生活一般に関する知識
③ 入管法、労働基準法、技能実習に関わる不正行為が行われていることを知ったときの対応方法その他技能実習生の法的保護に必要な情報に関する講義(監理団体型は外部講師による講習)
④ その他日本での円滑な技能等修得に資する知識

改正技能

団体監理型の受入団体の監理は受入~実習終了まで継続・・・商工会議所、中小企業団体等の監理団体が技能実習生を受入れる団体監理型の受入について、受入団体の責任及び監理は、受入~技能実習終了時まで継続されます。

技能実習生の保護

【労働関係法令適用】・・・実習実施機関での技能等修得活動は雇用契約を締結して行われ、労働基準法、最低賃金法等の労働関係法令が適用されます。 また、実習実施機関における労働条件を技能実習生が理解したことを証する文書を入国審査の際に提出しなければなりません。

【労働災害への対応】・・・技能実習生の技能等の修得活動前に実習実施機関等が労働者災害補償保険に係る保険関係の成立の届出等の措置を講じなければなりません。

【講習実施による情報提供、相談体制】・・・実習実施機関での技能等修得活動を開始する前に監理団体による一定期間の講習実施を義務付け、講習において専門的な知識を有する外部講師による技能実習生の法的保護に必要な情報に係る講義を義務付ける他、監理団体による技能実習生のための相談体制を構築

【セーフティネット】・・・実習実施機関での技能実習が継続不能となった場合、監理団体が技能実習生の新たな受入れ先確保に努める。

【監理費用の徴収禁止】・・・監理団体の監理費用を技能実習生に直接又は間接に負担させないこと、また、監理団体が実習実施機関等から監理費用を徴収する場合は金額及び使途を明示すること 

受入団体の管理の強化

【監査実施と報告】・・・3か月に1回以上監理団体の役員が技能実習の監査を実施し、その結果を地方入国管理局へ報告する。

【技能実習計画策定】・・・技能実習に係る技能等について一定の知識等を有し、適正な技能実習計画を策定する能力のある役職員が「技能実習計画」を策定し、技能実習活動が適切に行われるよう「技能実習指導員」を配し指導する。 技能実習計画の到達目標は、1年目が技能検定基礎2級合格、2年目が技能検定基礎1級合格、3年目が技能検定3級を目安とします。

【訪問による状況確認・指導】・・・1か月に1回以上監理団体の役職員が実習実施機関を訪問し,技能実習の実施状況の確認及び指導を行う。

【生活指導員による指導】・・・日本における文化・風俗・習慣による生活上の不安を取り除き、日常生活の基本的ルールについて生活指導を行う指導員をおく。

送出し機関に関する要件厳格化

【不当な金品徴収禁止】・・・送出し機関等が保証金等を徴収し、又は労働契約の不履行に係る違約金を定める契約等が行われていないこと

【違約金禁止】・・・技能実習に関係する機関相互の間で、技能実習に関連して、労働契約の不履行に係る違約金を定める契約等が行われていないこと

【契約書の確認】・・・不適正な取決めがないか確認するために送出し機関と技能実習生本人との間の契約書等を入国の審査の際に提出

このページの先頭へ戻る