特別永住者(入管特例法)

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特別永住者とは
戦前から日本に在留している在日韓国人・朝鮮人・台湾人の法的地位の安定化を図る為、「入管特例法」を根拠とする法的地位です。
歴史的経緯・背景
戦争中に韓国・朝鮮・台湾などの日本の占領下で日本国民とされた人たちが、敗戦後1952年のサンフランシスコ平和条約により、朝鮮半島・台湾等が日本の領土ではなくなったことに伴い、日本国籍を離脱した在日韓国人・朝鮮人・台湾人とその子孫について、日本への定住性を考慮し、永住を許可するものです。
入管特例法
「入管特例法」は正式には、「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」といいます。 以前「入管法」の中で規定されていましたが、現在の「特別永住者」は、平成3年(1991年)11月1日に「入管特例法」が施行され、該当する人たちの在留に至る歴史的経緯から「入管法」上の在留資格に比べ安定した法的地位や処遇を定めています。
統計
「特別永住者」の地位に相当する外国人の割合は、戦後~昭和30年代までは全体の90%近くを占めていましたが、「特別永住者」の数自体の減少と新たに来日する外国人の増加により相対的に低下傾向にあり、「特別永住者」の総数はさらに下降すると考えられます。  逆に「入管法」上の「永住者」の在留資格は一貫して増加傾向にあり、外国人登録者数は平成19年に「永住者」が「特別永住者」を上回りました。

特別永住者に該当する歴史的起点と該当者

特別永住者に該当する歴史的起点

特別永住者に該当するには、以下の歴史的起点が区切りとなります。

特別永住者の該当者

「平和条約国籍離脱者」
① 昭和20年(1945年)9月2日以前から引き続き日本に在留する朝鮮半島・台湾出身者で、昭和27年(1952年)4月28日において日本の国籍を離脱した者
② 昭和20年(1945年)9月3日~昭和27年(1952年)4月28日までの間に、①を実父又は実母として日本で出生し、引き続き日本に在留する者で、昭和27年(1952年)4月28日において日本の国籍を離脱した者。 父又は母が出生前に死亡したときは、死亡の時まで引き続き日本に在留していること。
「平和条約国籍離脱者の子孫」
「平和条約国籍離脱者」の子、「平和条約国籍離脱者」の直系卑属として出生した子孫で、昭和27年(1952年)4月29日以降に日本で出生し引き続き日本に在留する者

特別永住者の許可申請

入管特例法第3条の特別永住者(法定特別永住者)
平和条約国籍離脱者又は平和条約国籍離脱者の子孫で、入管特例法施行日(1991年11月1日)に、次のいずれかに該当している者は、許可申請をしないで自動的に「特別永住者」へ移行し、日本に永住することができます。

  1. 1945年9月2日以前から日本に在留する者及びその子で1952年4月28日までに日本で出生し在留する者
  2. 「日韓特別法」に基づく永住の許可を受けている者(協定永住)・・・1945年8月15日以前から日本に在留する大韓民国国民及びその直系卑属で1966年1月17日から日本で出生した者
  3. 「旧入管法」上の「永住者」の在留資格をもって在留する者
  4. 「旧入管法」上の「平和条約関連国籍離脱者の子」の在留資格をもって在留する者

入管特例法第4条の特別永住者

平和条約国籍離脱者の子孫で出生その他の事由により上陸手続を経ることなく日本に在留することとなる者は、法務大臣の許可を受けて、特別永住者として永住することができます。
手続は、出生その他の事由が生じた日から60日以内に、居住地の市区町村長に特別永住者の許可申請 → 市区町村長は申請に係る居住地に居住しているかどうか、提出された書類の成立が真正であるかどうかを審査 → 法務大臣に送付 → 永住許可

60日を経過した場合・・・60日を経過して申請が認められない者については、「永住者の配偶者等」の在留資格を付与されることになり、下記の入管特例法第5条の申請を行うことにより「特別永住者」が許可されます。

入管特例法第5条の特別永住者

平和条約国籍離脱者又は平和条約国籍離脱者の子孫で「日本人の配偶者」、「永住者の配偶者」、「定住者」の在留資格をもって在留する者は、法務大臣の許可を受けて、特別永住者として永住することができます。
手続は、特別永住許可申請書その他の書類を法務大臣に提出することにより許可され、従前の在留資格・在留期間は効力を失います。

※ 第4条、第5条の特別永住者の許可をする場合には、「特別永住許可書」が交付されます。

特別永住者証明書

 特別永住者には、入管法上の「在留カード」に該当する「特別永住者証明書」が交付されます。 特別永住者許可申請の審査は法務大臣ですが、「特別永住者証明書」は市区町村を通じて交付されます。 「特別永住者証明書」の記載事項の変更届出・再交付申請受理・住居地の届出受理、住居地の記載、それら情報の法務大臣への通知は、市区町村の事務とされます。 また、「特別永住者証明書」の常時携帯義務は免除されています。

特別永住者証明書の記載事項(第8条)
・氏名、生年月日、性別、国籍
・住居地
・特別永住者証明書番号、交付年月日、有効期間の満了日

「特別永住者証明書」の有効期間(第9条)

■特別永住者証明書の交付の日に16歳に満たない者
・16歳の誕生日(誕生日が2月29日であるときは、うるう年以外の年における誕生日は2月28日であるものとみなす。)
■上記以外の特別永住者
・住居地以外の記載事項変更届出、紛失等による再交付、汚損等による再交付の申請により特別永住者証明書の交付を受けた場合は、その届出・申請日後の7回目の誕生日
・有効期間更新申請による特別永住者証明書の交付を受けた場合は、旧特別永住者証明書の有効期間の満了の日後の7回目の誕生日

「特別永住者証明書」の更新(第12条)
特別永住者証明書の有効期間の満了日の2月前( 有効期間の満了日が16歳の誕生日とされているときは、6月前)から有効期間が満了する日までの間、居住地の市町村の長を経由して、法務大臣に対し、特別永住者証明書の有効期間の更新を申請しなければなりません。

住居地の届出義務や罰則
「在留カード」同様に特別永住者も住居地の届出義務や届出義務違反・虚偽の届出についての罰則があります。 また、「特別永住者証明書」についても、「在留カード」同様に偽造・変造の罰則があります。 ただし、退去強制事由には該当しません。

<参照リンク:在留管理制度上の各種届出義務>

<参照リンク:在留カードに関連する退去強制事由と罰則規定>

再入国許可

 特別永住者についても出国し再入国する場合には、再入国許可が必要ですが、再入国の上陸手続について、上陸拒否事由の非該当性は、上陸の為の要件とはされず、旅券の有効性のみが審査されます。 また、再入国許可有効期限は6年間で、延長は1年を超えず、かつ、再入国許可の効力が生じた日から7年を超えない範囲内で延長の許可を受けることができます。

「みなし再入国制度」導入・・・有効な旅券と「特別永住者証明書」を所持する「特別永住者」で出国後2年以内に再入国する場合には、原則として再入国許可を受ける必要がなくなります。

退去強制(入管特例法第22条)

 入管法の在留資格は、違法な在留や在留中の好ましくない活動をしたなど一定事由に該当する外国人を強制的に退去させてしまう退去強制事由が規定されていますが、特別永住者についてはその歴史的経緯から、これとは別の規定が「入管特例法」おかれ、重大な国益を侵害する行為のみに限定されています。

特別永住者の退去強制事由

内乱に関する罪
国の統治機構を破壊する内乱罪、内乱罪の予備・陰謀する行為、内乱を幇助する罪により禁錮以上の刑に処せられた者。 ただし、執行猶予の言渡しを受けた者を除く。
外患に関する罪
外国と通謀して日本国に武力を行使させる行為、日本への武力行使に加担して軍事上の利益を与える行為、それらの未遂・予備・陰謀行為の罪により禁錮以上の刑に処せられた者。 ただし、執行猶予の言渡しを受けた者及び内乱罪について単に暴動に参加した罪により刑に処せられた者を除く。
国交に関する罪
外国の国旗や国章を損壊する外国に対して侮辱する行為、外国に対する私的戦闘行為をする目的で予備又は陰謀する行為、外国が交戦している際の交戦国のいずれにも加担しないこと等の命令に違反する行為により、刑法に規定する罪で禁錮以上の刑に処せられた者。
外交上の重大な損害
外国の元首、外交使節又はその公館に対する犯罪行為により禁錮以上の刑に処せられた者で、法務大臣がその犯罪行為により日本国の外交上の重大な利益が害されたと認定したもの
日本の重大な利益損害
無期又は7年を越える懲役又は禁錮に処せられた者で、法務大臣がその犯罪行為により日本国の重大な利益が害されたと認定したもの

雇用対策法に基づく届出義務適用除外

 外国人を新たに雇い入れた場合又は雇用する外国人が離職した場合には、厚生労働大臣に届け出なければならないことになっていますが、この外国人は「入管法」の在留資格を対象としていて、「特別永住者」は適用除外されています。

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