代襲相続

 「代襲相続」とは、相続開始があった時、相続人である子が既に死亡している場合、死亡してしまった子に子がいれば、その子が代わって相続するという制度です。 例えば、高齢の父親が死亡したが、その相続人である長男が既に死亡している場合、長男の子が相続人となります。
なお、遺言による遺贈を受けた相続人以外の第3者には、代襲相続はありませんので、遺言者が亡くなる前に死亡していれば、その遺言事項については効力がなくなります。

代襲相続の説例

代襲相続 右図は、本人(父)が死亡する前に長女と長女の子(孫D)が既に死亡している場合の相続関係図です。 法定相続人(法律で定められた相続人)は、妻、長男、長女、次男の4人となりますが、長女は既に死亡しいるので、生きていれば相続するはずだった父の遺産を長女の子(孫C・D)が代わって相続します。 しかし、孫Dも既に亡くなっているので、孫Dの子であるひ孫が相続することができます。 子が死亡している場合は、何代でも代わって相続でき、これを代襲相続といいます。 これにより父の死亡による法定相続人(法律で定められている相続人)と法定相続分(法律で定められている相続分)は、妻が6/12、長男が2/12、孫Cが1/12、ひ孫が1/12、次男が2/12となります。 つまり、長女が相続するはずだった相続分をその子が分け合い、既に死亡している子がいるので、そのまた子がその相続分を相続することになります。

養子の子が代襲相続する場合

養子の子の代襲相続 養子も実子と同じく養父母の相続人となります。 養父母死亡による相続開始の前に養子が既に死亡している場合には、実子同様、養子の子も代襲相続します。 ただし、代襲相続できる養子の子は、亡くなられた方と養子縁組後にできた養子の子に限られ、養子縁組前に既に生まれている養子の子は代襲相続できません。
左図で、本人の死亡により妻(配偶者)と養子、実子である長女が相続人となりますが、養子は既に死亡しているので、養子の子Bが代わって相続します。 養子縁組前の子Aは代襲相続しません。 法定相続分は、妻(配偶者)が2/4、長女が1/4、養子の子Bが1/4となります、 もし、養父が養子縁組前に出生した子Aにも遺産を分けたいと考える場合は、遺言書で遺しておくことができます。 なお、(普通)養子は養親と実親両方の相続人となりますが、特別養子縁組の場合には、実親との親子関係は終了している為、相互に相続人となることはできず、養親とだけの相続関係となります。

兄弟姉妹が相続人となる場合の代襲相続

 下図は、子のない本人が死亡した場合の相続関係図です。 法定相続人は、子も父母もないので、配偶者と兄弟姉妹です。 しかし、姉は既に死亡しているので、甥A、甥Bが代襲相続することになりますが、甥Aは既に死亡しており、兄弟姉妹の代襲相続は1代限りなので、甥Aに子があっても相続はできず、甥Bのみが代襲相続します。 また、死亡した本人の兄弟姉妹には、異母兄弟の兄がいるので、この兄は、死亡した本人と父母を同じくする兄弟姉妹の1/2の相続分となります。 よって、この場合の法定相続人と法定相続分は、本人の妻15/20、兄2/20、甥B2/20、異母兄弟の兄1/20となります。

兄弟姉妹の代襲相続

※ 昭和23年1月1日~昭和55年12月31日までの相続については、兄弟姉妹の代襲相続は、何代でもできます。

配偶者の連れ子は代襲相続しません。

配偶者の連れ子 例えば、右図のように先夫の子である連れ子の長男は亡くなった父親と養子縁組しているので子として相続が発生しますが、同じ連子の次男、長女は、養子縁組していないので現在の父親が死亡した場合でも相続することはできません。 (赤いボックスは相続人、グレーのボックスは死亡している人)

直系尊属(父母・祖父母など)が相続人となる場合には代襲相続はありません。

尊属の代襲 直系尊属には代襲相続はありません。 左図のように配偶者と直系尊属が相続人の場合、亡くなられた方の父が既に死亡し、母だけが生きているときは、母のみが相続人となり、亡くなった父の父母(父方祖父母)が健在でも、父が相続するはずだった遺産を父方祖父母が代わって相続するということはできません。 (赤いボックスは相続人、グレーのボックスは死亡している人)

代襲相続が生じる原因 ⇒ 相続人の死亡、相続欠格、廃除

 上記のように代襲相続が生じる原因には、相続開始以前の相続人の死亡がありますが、その他に「相続欠格」と「廃除」があります。 「相続欠格」とは、相続に関して不当な利益を目的とする違法な行為を行った者に対して、法律上当然に相続権を剥奪すること。 「廃除」とは、被相続人に対する非行等がある場合、被相続人の意志に基づき、家庭裁判所への請求による審判により相続権を剥奪することです。 相続権を剥奪された相続人は相続できませんが、直系卑属(子や孫)がある場合は、相続権を剥奪された人に代わって相続することができます。

詳しくは[ 相続欠格・廃除 ]をご覧ください。

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