遺言書

「遺言書」とは、自分が死んだ後の財産の行方や、近親者の将来を案じて対策をとっておきたいときなどにその意思を伝えるもので、民法の規定に従い遺言者の意思が尊重されます。 ただし、民法は遺言の方式を規定し、その方式を満たさない場合には遺言を無効としていますし、相続人が最低限の財産を確保できる遺留分制度によって遺言内容は制限を受ける場合があります。

遺言書に対して間違った認識をしていませんか?

「遺言書なんてお金持ちのはなし」とお考えのあなた
「遺言書は資産家やお金持ちのおはなし」と考えるのは間違いです。 なぜ間違いかと云いますと理由は簡単です。 財産の多少に関係なく亡くなった方の名義になっている住居、土地、銀行預金などは相続手続き(名義変更)が必要だからです。 遺言書は銀行預金や不動産の名義変更をする相続手続きの際の証明書になります。 相続手続きをしないと銀行預金は凍結されて引き出しできませんし、不動産の相続登記をしておかないと後の土地の利用上支障を生じます。
遺言書がない場合には
相続人がどのように遺産を分割するか協議し、遺産分割協議書を作成し、これを相続手続きの際の証明書として使います。 いずれにしても相続手続きにはその相続を証明するものが必要となります。 また、お住まいの土地、家以外に財産がないような場合は、簡単に分けられない為、土地や家を売って換金して分けるか、相続人の共有とするかなど意見が衝突してトラブルとなったりします。
ですから財産の多少に関係なく遺言書は遺しておかれることをお薦めします。
「まだ元気だから、遺言書をつくるには歳が若い」とお考えのあなた
遺言書のはなしをすると、「まだ元気だから」「そんな歳ではない」と云う声が聴かれます。「遺言書は死ぬ前に書くもの」という観念があるようです。 日本人の平均寿命は男性79歳、女性85歳ですが、人はいつ死ぬか誰も解りませんし、あまり高齢になってしまうと、気力が失せたり、文字が書けない、寝たきりなど身体が不自由になったり、認知症などにより意思能力が問題になってからでは遺言書をつくることができないということがあります。
「まだ元気だから」ではなく、「元気なうちにつくる」ものなのです。
 遺言書をつくるタイミングとしては「父母の不動産等まとまった財産を相続した」「マイホームをもった」「お子さんが結婚又は独立して夫婦2人になった」「事業を経営している」など自分名義の財産をもった方やもっている方は、早めにつくっておかれることをお薦めします。 法律上は15歳以上であれば遺言書を作ることができますが、30代で遺言書をつくった人の話を聞いたことがあります。 ちなみに私はまだ父母の財産を相続していませんからまだつくっていません。 我が家のわずかな不動産などを相続したらつくろうと思っています。 
「家族仲が良いので相続争いになることはない」とお考えのあなた
家族仲が良くても悪くても相続手続きをしなければならないことに変わりありません。 また、家族のなかで亡くなられる方の存在感が大きい場合には、その後の家族関係に変化を生じ、思わぬトラブルに発展することがあります。 さらに、相続人達は仲が良くてもその配偶者や他の親族が口を出してトラブルになることがあります。
その他の誤解
■ 遺言書を作ると自分の財産が自由に使えなくなるのでは? → 遺言書の内容に関係なく自由に使うことができます。
■ 遺言書を作ると税金がかかるのでは? → 遺言書を作った時点では税金はかかりません。 亡くなった後、相続財産により相続税が発生する場合はあります。

遺言書をつくるメリット

遺言書をつくると次のようなメリットがあります。

ご本人の意思を遺産分割に反映できる
亡くなった後の遺産分割協議では、相続人の意思で遺産を分割しますが、遺言書を遺せば、亡くなった方ご本人の意思を反映させることができます。
特定の人に特定の財産を遺せる
遺言書がない場合には法律で定められた割合で相続したり、相続人の遺産分割協議により財産を分けることになりますが、遺言書として分割方法や相続分指定の意思を明確にしておけば、特定の人に財産を遺すことができます。 たとえば、事業などの承継者に事業継続の為の必要な財産を相続させたり、先祖からの土地を祭祀承継者に相続させたり、内縁関係の相手や認知していない子に遺産を遺すことができます。
相続人の将来の生活を配慮した遺産相続を指定できる
年老いた配偶者や障害をもつ子の将来の生活を考慮するなど相続人の諸事情に応じて遺産を相続させることができます。 また、配偶者や障がいをもつ子の面倒を見ることを条件として他の相続人に遺産を相続させたり、後見人の指定などをすることができます。
親族関係悪化を防ぐ
亡くなった方の財産の分け方を決める遺産分割協議がまとまらなくて相続手続きが進まなかったり、遺産分割をめぐって親族関係が悪化するなどの弊害を未然に防ぐことができます。
相続手続きの負担を軽減できる
遺言書には遺産の内容や相続人が定められていますので、遺産の内容が把握でき、不動産の相続登記や金融機関の預金の名義変更の際には相続証明書類として利用できます。  遺言書がない場合には、遺産内容の調査に時間がかかったり、不動産の相続登記や亡くなられた方の銀行預金の引き出しには、遺産分割協議書や相続人全員の同意書が必要となります。

adicon 行政書士は、遺言書作成の法律的要件に基づき遺言書案を起案する業務を受任します。また、公証役場における証人となったり、遺言執行者に指定することもできます。

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