在留資格 「経営・管理」

「経営・管理」とは・・・外国人の経営者や管理者を受け入れるために設けられた在留資格で、適法に行われる業務であれば、その業種に制限はありません。

日本人・日本法人、外国人・外国法人が投資した事業の経営又は管理の業務に従事する活動が該当します。

経営又は管理に従事する活動であることが求められますが、日本人・日本法人、外国人・外国法人 いずれの投資事業についても該当します。

経営又は管理の一環としての現業活動は認められます。

小規模事業などの経営又は管理に従事する場合は、主たる活動が経営又は管理であり、その一環として現業活動を行うことは認められ、資格外活動とはなりません。

複数の者が経営又は管理に従事する場合

役員の人数に制限はありませんが、複数人の経営・管理者を必要とする事業規模、業務量、売り上げ、従業員数等が勘案され、各経営・管理者について、経営・管理に係わる業務の内容が審査されます。

在留資格該当性(どのような人が該当しているか?)

 外国人が日本において投資をして事業を起こす、又は既存の事業に投資してその経営又は管理に従事する活動や日本人・日本法人の事業の経営又は管理に従事する活動で、代表取締役、取締役、監査役、部長、工場長、支店長などの事業経営・管理に関する活動で下表の場合が該当します。

経営管理活動(代表取締役、取締役、監査役など) 事業管理活動(部長、工場長、支店長等)
① 日本で事業を開始し経営する活動 ② ①の事業の管理に従事する活動
③ 日本における既存事業に参画して経営を行う活動 ④ ③の事業の管理に従事する活動
⑤ 日本における事業経営を行う者に代り経営を行う活動 ⑥ ⑤の事業の管理に従事する活動

上陸許可基準適合性(その在留資格で上陸するにはどのような要件があるか?)

 「経営・管理」の在留資格は下表の要件を充たさなければなりません。

経営主体の存在と
経営の継続性

・日本に事業を営むための事業所があり、人や一定の設備があり、事業が継続的に行われていること。

・事業開始前の場合は、事業に使用する施設が確保されていること

事業の規模

・その経営又は管理に従事する者以外に2人以上の日本に居住する日本人、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、特別永住者の常勤職員が従事する規模であること。

・資本金の額又は出資総額が500万円以上であること

上記に準ずる規模の事業であること。

事業管理活動の場合
②、④、⑥

・事業の経営又は管理について3年以上の経験(大学院で経営又は管理に係る科目を専攻した期間含む)を有し
・日本人と同等額以上の報酬を受けること。

「事業所施設が確保」されなければならない

 上陸許可基準において、事業所施設を確保することが要件となっています。
ベンチャー企業などは、設立当初は規模が小さく少人数での事業運営が可能であることから、住居としても使用している施設を事業所と定めて事業を行う場合がありますが、事業施設の確保については以下の点に留意する必要があります。

賃貸物件の事業所・・・賃貸借契約においてその使用目的を事業用、店舗、事務所等事業目的であることを明確にし、賃貸借契約者については法人等の名義とし、法人等による使用であることを明確にすること
※申請の為だけの短期間の賃貸物件契約や、容易に処分可能な仮設的なものは認められません。

住居兼事業所として賃借物件の一部を使用して事業が運営されるような場合・・・①住居目的以外での使用を貸主が認めていること(事業所として借主と法人の間で転貸借されることにつき、貸主が同意していること)、②借主も法人が事業所として使用することを認めていること、③住居部分と事務所部分が分離され、事業目的占有の部屋を有していること、④公共料金等の共用費用の支払に関する取決めが明確になっていること、⑤看板類似の社会的標識を掲げていることが求められます。

事業を行う設備・・・電話、ファックス、コピー機、パソコンやその他デスクや業務書類・資料等を収納する書棚など事業を行うに必要な設備を備える事。

「事業の適正性・安定性・継続性」が求められます

事業が適正に行われ、継続して運営される安定性が不可欠となります。

適正性・・・許認可等の必要な事業は許認可を取得し、労働者を雇用する場合には社会保険等への加入が必要となり、日本の法令を遵守して適法な事業運営をしなければなりません。

安定性・継続性・・・資本金の大小にかかわらず、事業規模に応じた適正な運営が総合的に行われることが必要です。 新規事業については、説得力のある実現可能性が高い具体的な事業計画を作成することが必要となります。

事業の継続性があると認められる場合
直近の単年度の決算状況だけでは赤字決算となることもあるので、直近2期の決算状況により事業の継続性を判断されます。
・直近期末において剰余金がある場合又は直近期において当期純損失となったとしても、剰余金が減少したのみで欠損金とまでならない場合には、事業の継続性があると認められます。
・直近期末において欠損金があるが、直近期末において債務超過となっていない場合 は、今後1年間の事業計画書及び予想収益を示した資料の提出を求め、事業が行われていることに疑義があるなどの場合を除き、原則として事業の継続性があると認める。  ただし,資料内容によっては,中小企業診断士や公認会計士等第3者が評価を行った書面の提出をさらに求められる場合もあります。
・直近期末において債務超過であるが、直近期前期末では債務超過となっていない場合は、債務超過が1年以上継続していない場合に限り、中小企業診断士や公認会計士等第三者が、1年以内に債務超過の状態でなくなる改善の見通しについて評価を行った書面の提出を求め、事業の継続性を判断する。

事業の継続性が認められない場合
・直近期末及び直近期前期末ともに債務超過である場合は、債務超過となって1年以上経過しても債務超過の状態のときは、事業の継続性があるとは認められない。
・直近期及び直近期前期において共に売上総利益がない場合は、企業の主たる業務において売上高が売上原価を下回るということは、主たる業務を継続的に行える能力を有しているとは認められず、事業の継続性があるとは認められない。

「一定の資本金や投資額及び常勤職員数の事業規模」が必要

 経営・管理する事業について一定の資本や人員などの事業規模が求められます。

常勤職員2名以上雇用・・・経営又は管理に従事する者以外に2人以上の日本に居住する日本人、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、特別永住者で常勤の職員が従事して営まれる規模のものであることが求められます。

一定の資本金が必要・・・会社形態で営まれる株式会社、合名会社、合資会社、合同会社を想定して出資総額が500万円以上が求められます。

「上記に準ずる規模の事業」とは

「常勤職員2名以上雇用」=実際に2名以上の雇用を求める主旨ではなく、その程度の規模であることを求めています。 常勤職員を2名以上雇用していなくても、500万円以上の投資が行われているなど一定の規模が認められれば良いと言うことです。

「出資総額500万円以上」=個人事業形態などは、事業所を確保する為の土地・建物の賃借料、雇用する常勤・非常勤職員に支払われる報酬、事務機器購入経費及び事業所維持費用等の事業に実質的に投下されている総額が500万円以上であれば良いと言うことです。 また、一度投資された500万円以上の投資が回収されることなく維持され、貸借対照表で500万円以上の資産規模が継続して維持されていなければなりません。

在留期間

在留期間は、5年 3年 1年 4月 3月 です。

在留期間4月とは・・・新たに法人を置いて事業を行おうとする場合、中長期在留者として住民票が作成される最短期間の4月の在留期間を設定し、法人設立に必要な住民票交付期間に配慮した在留期間である。

外国人・海外居住者の商業・法人登記手続き

 外国人が日本で会社を設立する場合、日本に住所を有していなくても(日本に居住していなくても)、株式会社設立登記及び代表取締役就任登記の申請が出来ます。 外国人の代表取締役全員が海外に居住していても、日本において会社設立登記を申請することが出来ます。(平成27年(2015年)3月16日 法務省民商第29号通知)1

出資の払込み取扱機関は、日本の銀行の日本国内本支店及び海外の支店、外国銀行の日本国内支店が対象となり、払込金額を証する書面と口座預金通帳写し等により出資の払込みを証明します。

預金通帳の口座名義人は、発起人及び設立時取締役の全員が日本に住所を有していない場合は、払込金の受領権限を委任したことを明らかにする委任状を添付します。

「留学」から「経営・管理」の在留資格へ変更する場合

 留学生が起業して「経営・管理」の在留資格へ変更する場合は、資金源が問題とされます。 「留学」の在留資格は、就労が認められていない上、資格外活動許可を受けた場合でも、1週28時間の制限がある為、事業開始資金の出所を審査されます。 留学する前からの貯蓄であったり、海外からの送金を受けている場合には、銀行口座などから立証できますが、そうでない場合には、違法な資格外活動により得た金銭ではないかと疑われます。

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