在留資格 「特定活動」

「特定活動」とは・・・人の活動は多種多様で、すべての活動を在留資格に当てはめることはできない為、活動を目的とする他の在留資格に該当しない活動の受け皿として、法務大臣が個々の外国人について特に活動を指定する在留資格です。 外国人個々に指定される活動なので、就労の可否・在留期間は、指定される活動内容により定められます。
この在留資格は、法務大臣が予め告示をもって定める活動「告示特定活動」とそうでない「告示外特定活動」に大別されます。
「定住者」は、日本人との関わりの多様性に対応する為に、他の在留資格に属さない身分や地位の受け皿の役割を持ち、「特定活動」の在留資格は、外国人の活動の多様性に対応するため、他の在留資格に属さない活動資格の受け皿の役割を持つものです。

在留資格該当性(どのような人が該当しているか?)

 法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動を行うことができる在留資格

「入管法規定の特定活動」、「告示特定活動」、「告示外特定活動」があります。
特定活動には、下記の分類のように、「入管法規定の特定活動」と法務大臣が告示で定める「告示特定活動」とそれ以外の「告示外特定活動」があり、「入管法規定の特定活動」と「告示特定活動」に該当している場合には、在留資格認定証明書交付申請ができ、上陸時に「特定活動」の在留資格が付与されますが、「告示外特定活動」の場合は、他の在留資格(「短期滞在」など)で上陸後に「特定活動」の在留資格へ変更を申請します。

「入管法規定の特定活動」・・・高度人材受入を促進する目的で、研究者や情報処理技術者及びその家族(配偶者・子)についての在留資格です。

「告示特定活動」・・・法務大臣があらかじめ告示で定める在留資格で、外国政府との協定や外国との交流を促進するなどを目的として在留資格を定めています。

「告示外特定活動」・・・他の在留資格に該当せず、「入管法規定の特定活動」や「告示特定活動」にも該当しない場合の在留資格で、個々の外国人の事情により付与される在留資格です。

「入管法規定の特定活動」 ■イ=「特定研究等活動」、ハ=「特定研究等家族滞在活動」
法務大臣が指定する日本の公私の機関との契約にもとづいて、高度専門的な研究活動、研究指導をする活動、特定分野に関する教育活動などを行う「特定研究等活動」と同伴するその配偶者・子の日常的な活動を行う「特定研究等家族滞在活動」
■ロ=「特定情報処理活動」、ハ=「特定情報処理家族滞在活動」
法務大臣が指定する日本の公私の機関との契約にもとづいて、情報処理に係わる業務に従事する活動を行う「特定情報処理活動」と同伴するその配偶者・子の日常的な活動を行う「特定情報処理家族滞在活動」
「特定情報処理活動」を行う特定活動の在留資格は、「技術」の在留資格と同じ上陸許可基準です。linkicon
法務大臣が
告示で定める活動
「告示特定活動」
■ニ=上欄以外の活動で特に定めるもの
①外交官等の家事使用人    ②「投資・経営」「法律・会計業務」の家事使用人
③亜東関係協会職員とその家族 ④駐日パレスチナ総代表部職員とその家族
⑤ワーキングホリデー     ⑥アマチュアスポーツ選手
⑦⑥の配偶者・子       ⑧外国弁護士の国際仲裁代理
⑨インターンシップ      ⑩英国人ボランティア
⑪「入管法規定の特定活動」イ、ロの扶養する父母又は配偶者の父母
⑫サマージョブ        ⑬国際文化交流
⑭経済上の連携に関する日本とインドネシア、フィリピンとの協定
(EPA)に基づく看護師、介護福祉士として業務に従事する活動
⑮外国人患者本人と付添人の在留資格
などがあります。
※亜東関係協会とは、中華民国(台湾)の対日窓口機関で、日本との国交がないことから民間交流関係を維持する為に設けられた機関
※駐日パレスチナ総代表部とは、暫定自治区・暫定自治政府となっているパレスチナ自治政府とパレスチナ解放機構の日本の代表事務所。
「告示外特定活動」 告示で定める特定活動以外の活動で、適合する在留資格がない場合に、法務大臣が上陸特別許可、在留資格変更許可、在留特別許可に基づいて上陸・在留を認める告示外特定活動

活動内容を変更するとき
法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動なので、指定を受けた活動をやめて他の活動を行おうとする場合には、在留資格変更手続が必要となります。 同じ「特定活動」の在留資格に該当する活動であっても、指定された活動と異なる活動をしようとする場合は、在留資格変更許可を受けなければなりません。

告示特定活動

② 「投資・経営」「法律・会計業務」の家事使用人

家事使用人とは・・・以下の外国人が使用する言語により日常会話を行うことができる個人的使用人として雇用された18歳以上の者が、月額15万円以上の報酬を受けて、雇用した外国人の家事に従事する活動

雇用する外国人が、申請人以外に家事使用人を雇用していない「投資・経営」又は「法律・会計業務」の在留資格をもって在留する事業所の長又はこれに準ずる地位にある者で、申請の時点において、13歳未満の子又は病気等により日常の家事に従事することができない配偶者を有する者。

「申請人以外に家事使用人を雇用していない」とは・・・雇用できる家事使用人は1名のみを意味している。

事業所の長又はこれに準ずる地位にある者とは・・・事業所の長でなくとも、事業所の規模・形態・業種や報酬額・権限等を総合的に判断され、家事使用人を雇う外国人の職責や指揮命令系統などが社内で独立性が高い場合や統括する部門の人員が多いような場合は該当します。

13歳未満の子又は病気等により日常の家事に従事することができない配偶者・・・必ずしもこの規定のような場合に限らず、配偶者が他の就労資格をもって在留し、日常的な家事に専念できないような場合でも認められます。

在留期間・・・在留期間は1年又は6月が指定され、永住許可の要件である「現在もっている在留資格について、入管法施行規則別表2で規定されている最長の在留期間(3年)で在留していること。」という最長在留期間を指定されることはありませんので、永住許可を得ることはできません。

⑤ ワーキングホリデー

ワーキングホリデーとは・・・2国間協定に基づいて、青少年が休暇を楽しみながら相手国の文化・生活様式を知るなど相互理解を深める為一定期間滞在し、その間の滞在資金を補充する目的で就労ができるという制度です。 
日本と協定を結んでいる国は、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、韓国、フランス、ドイツ、イギリス、アイルランド、デンマーク、台湾、香港があります。この制度の特徴は、他の在留資格と異なり、滞在資金を現地で補うことが認められることです。 日本人がワーキングホリデー制度を活用する件数は毎年増加傾向にあり、現在は2万人を超えています。 一方、外国人の査証発給数は5千人程度となっています。

査証発給の為の要件
① 上記2国間協定を結んでいる国に居住する国民であること
② 一定期間主に日本で休暇を過す目的であること
③ 査証発給時の年齢が18歳~25歳であること(フランス、デンマークは30歳まで)
④ カナダを除き子供を同伴しないこと、イギリス以外は配偶者同伴でもよい
⑤ 有効な旅券、帰国の為の旅行切符又は旅行切符購入資金があること
⑥ 滞在期間の最初の生計を維持する為の資金があること
⑦ 健康で健全な経歴を有すること

滞在期間
オーストラリア、ニュージーランド、カナダは、6ヶ月の滞在期間が付与され、6ヶ月の延長が認められます。 それ以外は1年間の在留許可が付与され、延長することはできません。

就労制限
風俗営業、風俗関連事業所での就労はできません。

⑭ EPAによる看護師・介護福祉士候補者受入

 経済連携協定(Economic Partnership Agreement,EPA)とは、締約国間の貿易自由化・円滑化を促進し、関税・サービス貿易、投資、知的財産、人的交流等各種経済分野の政策調和や規制緩和・協力等を目的とした協定で、インドネシアやフィリピンと締約し、高齢社会を背景とした介護サービスの充実を図る為、看護師や介護福祉士候補者等を受入れています。
日・インドネシア経済連携協定協議、 日・フィリピン経済連携協定協議
短期の商用訪問者,企業内転勤者、投資家、自由職業サービス従事者(弁護士等)、公私の機関との契約に基づく「技術」・「人文知識・国際業務」、看護師・介護福祉士候補者等の受入れを規定しています。

看護師・介護福祉士候補者の受入
看護師及び介護福祉士の国家資格取得と取得後の就労を目的として、2国間の協定に基づく「特定活動」の在留資格により受入れていますが、労働市場への悪影響を避けるため、受入れ最大人数を設定しています。
活動内容
国家資格の取得前は、日本国内の病院・介護施設で雇用契約を締結して就労・研修し、国家資格の取得後は、日本国内の医療施設・介護施設等で看護師・介護福祉士として就労します。
在留期間
・資格取得前:看護師3年、介護福祉士4年が上限→国家試験に不合格の場合は帰国
・資格取得後:在留期間上限3年、更新回数の制限なし
看護師候補者の入国要件
・看護師資格の保有者(看護学校の修了証書Ⅲ取得者又は大学の看護学部卒)
・一定年数以上の看護師の実務経験
・日本人と同等報酬の雇用契約を締結すること
介護福祉士候補者の入国要件
・大学の看護学部卒業者や看護大学卒業者等
・日本人と同等報酬の雇用契約を締結すること
日本語等研修の実施・・・入国後6か月間の日本語研修及び看護・介護導入研修実施

⑮外国人患者本人と付添人の在留資格

外国人患者の在留資格・・・外国人が自国での治療が困難な疾病治療を受けるため、相当期間日本に滞在して、病院又は診療所に入院し疾病又は傷害について医療を受ける場合や入院前後に疾病又は傷害について継続して医療を受ける場合は、在留資格「特定活動」により入国・在留ができます。 日本での長期治療する必要性や治療費・滞在費などの費用支払いに支障がないことを立証することにより「特定活動」の在留資格が付与され、在留期間は原則として「6月」です。 なお、短期間の医療を目的とする外国人については、これまでと同様、在留資格「短期滞在」による入国となります。
外国人患者の付添人の在留資格・・・上記の「特定活動」の在留資格で在留する外国人患者の日常生活上の世話をする付添人についても在留資格が付与されます。
在留資格認定証明書の申請手続は、外国人患者本人や付添人に代わって、在日親族の他、入院する病院等の職員も行うことができます。

告示外特定活動

 上陸特別許可、在留資格変更許可、在留特別許可により上陸や在留を認める場合、在留資格のいずれにも該当しない場合には、「特定活動」の在留資格が付与されることがあります。

「家族滞在」配偶者の連れ子の呼び寄せ

 就労資格の在留資格で在留する外国人の配偶者・子(実子・養子)は、「家族滞在」の在留資格で在留できますが、配偶者の連れ子で養子縁組していない子は、「家族滞在」の在留資格に該当しないため、「短期滞在」で上陸後、「特定活動」に在留資格を変更することになります。

< 参照クリック:「家族滞在」 >

親の呼び寄せ

 両親が何らかの在留資格に該当している場合には呼び寄せることができますが、単に高齢だからと云う理由で呼び寄せることはできず、同居・扶養の必要性等の特別な理由があることなどを証明・説明する資料を揃えて申請することにより許可される場合があります。
親の呼び寄せ手続・・・①「短期滞在」の在留資格で呼び寄せ、その後②「特定活動」の在留資格に変更し、一定年数の在留により、日本への定着性や生活基盤ができれば、③「定住者」への在留資格へ変更が認められる場合があります。
特定活動への在留資格変更の要件・・・①おおむね65歳以上の実親で、②本国に配偶者や他の実子がおらず扶養する者がなく、③日本で扶養する在留資格をもつ外国人に扶養能力があることが必要となります。

大学等を卒業した留学生が行う就職活動やその家族の在留 及び 就職先内定者やその家族の在留

 就職先が決まらない大学等を卒業した留学生が行う継続的就職活動期間や就職内定者が雇用される日までの期間、留学生及びその在留する家族は「特定活動」へ在留資格を変更して在留できます。

<参照クリック:留学>

その他、人道上配慮が必要な場合

 入管法上の在留資格に該当するものがないけれど、人道的な立場から在留することを認める必要がある場合は、「特定活動」の在留資格が付与されることがあります。

在留資格変更・更新が不許可の場合の「特定活動」

 在留資格変更・更新許可申請が不許可となり「特定活動」の在留資格が付与された場合は、出国の為の準備期間として付与されるものなので、在留を希望する場合は、不許可理由や再申請が可能かどうかを入国管理局に相談する必要があります。

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