永住者(入管法第22条)

 日本においてその生涯を過そうとする者は、永住許可を受けると在留活動に制限がなくなり、社会的信用度が高まります。

「永住者」とは・・・法務大臣が日本での永住を認める者で、その生涯を日本に生活の根拠をおいて過す者をいいます。 海外から永住者を受入れる制度はなく、上陸に際し「永住者」の在留資格を付与することはありません。
「永住者」以外の在留資格で在留する外国人で一定条件を満たす者について在留資格変更又は在留資格取得手続で永住を許可されます。 「日本人の配偶者等」の在留資格から「永住者」へ変更する例が多く見られます。

「永住者」と「特別永住者」・・・永住には、「入管法」による「永住者」と「入管特例法」による「特別永住者」があります。
「特別永住者」とは、戦争中に日本国民とされた在日韓国・朝鮮・台湾国籍の人たちを救済する為、戦後も引き続き日本に在留することを認められた地位をいい、「特別永住者」の地位に相当する外国人の割合は、戦後~昭和30年代までは全体の90%近くを占めていましたが、近年相対的な低下傾向にあり、逆に「入管法」の「永住者」の在留資格は一貫して増加傾向にあり、外国人登録者数は平成19年に「永住者」が「特別永住者」を上回りました。

<参照クリック:特別永住者>

「永住者」の制限とメリット

 外国人は永住許可を受ければ、日本に永住することができますが、日本国籍を得る【帰化】とは違い以下のような制限はありますが、メリットも大きいと云えます。

「永住者」の制限
・一旦出国し再入国する場合には、他の在留資格同様、再入国許可が必要
・退去強制事由に該当すれば退去強制される。
・参政権がない。

「永住者」メリット
・入管法上、在留資格の中では最も優遇された安定した法的地位
退去強制事由に該当しない限り在留期間の制限はなく、活動にも制限がない。
退去強制事由に該当した場合でも
法務大臣は在留特別の許可をすることができるとされています。
・「永住者」の配偶者や子が永住許可申請した場合
他の在留者より簡易な基準で許可される。
・商取引、社会生活上で信用が得られる。

<参照クリック:帰化>

在留資格変更による永住許可の要件 tolink

 「永住者」の在留資格は、日本における生活・資産状況や国益などの観点から要件に該当する場合、現に有する在留資格から「永住者」へ変更許可される在留資格です。
「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格から「永住者」へ変更するなど日本人の縁故者が変更する場合などが多いケースです。 なお、身分を根拠とする在留資格以外の活動資格(就労資格)からの変更もできますが、「留学」「技能実習」からの永住許可はされない扱いとなっています。

永住許可(在留資格変更による「永住者」)は、以下の3つの要件が必要となります。

要件① 素行が善良であること(素行善良要件)・・・納税義務を履行するなど法令を遵守し、日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでおり、以下のいずれにも該当しないこと。

日本の法令に違反して、懲役、禁固、罰金刑に処せられたことがある者(道路交通法違反による罰金を除く。)
ただし以下の場合には該当しないものとして扱います。
・懲役刑又は禁錮刑について、いずれかに該当するとき
執行が終わり、又は執行免除を得た日から10年を経過している。
刑の執行猶予の言い渡しを受けた場合で、執行猶予期間を経過したとき。
・罰金刑について、いずれかに該当するとき
執行を終わり、又は執行の免除を得た日から5年を経過している。
刑の執行猶予の言い渡しを受けた場合で執行猶予期間を経過したとき。
少年法により保護処分が継続中の者
日常生活・社会生活において、違反行為・風紀を乱す行為を繰り返し行うなど素行善良とは認められない特段の事情がある者。
道路交通法違反などの違法行為を繰り返すなどが該当します。

要件② 独立生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日常生活において公共の負担にならず(生活保護を受けず)、保有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。 申請人自身のみでなく、世帯単位で安定した生活が見込まれれば認められます。 活動資格(就労資格)からの変更は、年収300万円程度が必要となります。

要件③ その者の永住が日本の利益になると認められること・・・長期間わたり、日本社会の構成員として居住していると認められること

原則として継続して10年以上日本に在留していること。  ただし、就労資格でない留学生などの在留資格の期間がある場合は、就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
現在もっている在留資格について、入管法施行規則別表2で規定されている最長の在留期間(多くの在留資格は5年)で在留していること。
※平成24年7月施行の改正入管法により最長の在留期間は5年とされている在留資格については、当面は3年とする取扱をする。
公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。納税義務等公的義務を履行していること。

※ 要件緩和・・・日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は実子(特別養子含む)である者と難民の認定を受けている者は、下表のように要件が緩和されています。

日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は実子(特別養子含む)である者 要件③のみを審査
難民の認定を受けている者 要件①③を審査

ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は実子(特別養子含む)である者について、要件③のみが要件とされていますが、要件③において要件①と同様の素行善良要件が審査されます。

※ 要件③10年以上の特例・・・以下の場合には、引き続き10年以上の在留要件は緩和されます。

日本人、永住者、特別永住者の配偶者の場合、実態を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していること。(「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」の在留資格を有する必要はなく、就労資格であっても、日本人又は永住者の配偶者であればよい。) 日本人、永住者、特別永住者の実子(特別養子含む)の場合は1年以上日本に継続して在留していること。
なお、日本以外で(海外で)婚姻の同居歴がある場合については、婚姻後3年を経過し、日本で1年以上在留していればよいとされています。
「定住者」の在留資格で5年以上継続して日本に在留していること
難民認定を受けた者の場合、認定後5年以上継続して日本に在留していること
外交、社会、経済、文化等の分野において日本への貢献があると認められる者で、5年以上日本に在留していること。

在留資格取得による永住許可の要件 tolink

 次に該当する者は、永住者の在留資格を取得できます。
① 「永住者」の子として日本で出生した者
② 日本国籍を離脱した者
上記に該当する者は、出生の日、又は日本国籍を離脱した日から30日以内に、「永住者」の在留資格の取得を申請することにより永住を許可されます。

入管法の永住許可の審査及び手続

 永住許可申請における審査は、今までの入国在留履歴や就労状況、身分関係の実態、犯罪歴についても確認され、他の在留資格変更に比べ慎重に審査され、永住許可申請の標準処理期間も6ヶ月程度とされています。

永住許可の申請時期・・・現在もっている在留期間の満了する日以前に申請することが必要です。 永住許可申請の審査には通常より長期間を要する為、永住許可申請中に在留期間が経過する場合は、現在もっている在留資格の在留期間満了日までに別途在留期間更新許可申請をすることが必要となります。

永住許可の効力発生・・・ 永住許可の効力は、旅券、渡航証明書に永住の在留資格を押印した時から発生します。

「永住者」の在留カード交付

 在留カードは、改正法施行後、在留期間更新・在留資格変更等の手続において順次交付されることになりますが、「永住者」は在留期限がないので更新の申請をする機会がない為、改正法施行後3年以内に在留カードの交付申請をする必要があります。 改正法施行が平成24年7月9日なので、その3年以内には交付申請をする必要があります。

「永住許可」とその家族(配偶者・子)の在留資格

家族全員が永住許可申請する場合・・・永住許可申請をする者の配偶者や子が永住許可要件を満たさなくとも家族揃って永住許可を得られる場合があります。
永住許可を申請する者は申請時において「永住者」ではないので、その配偶者・子は、永住者の配偶者・子ではなく、要件の緩和や要件③10年以上の特例を受けらませんが、在留状況や家族状況等を総合的に考慮し特別に配慮することにより、永住許可申請をする者が永住許可要件を満たしていれば、その配偶者や子の居住年数基準は緩和され、配偶者については「実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、引き続き1年以上日本に在留していること」、子については1年以上継続して日本に在留していること」の要件を満たせば許可されます。 ただし、素行不良の者がいると許可されないことがあります。

義務教育の大半を日本で受けた者・・・日本で出生した者又は親に同伴して入国した者で、義務教育の大半を日本の学校教育法に基づく教育機関で修了している者は要件③10年以上の在留歴の要件は緩和され、在留状況や家族状況等を総合的に考慮し特別に配慮することにより永住許可されます。
学校教育法に基づく義務教育・・・小学校、特別支援学校小学部、中学校、中等教育学校前期課程、特別支援学校中学部

配偶者の「家族滞在」からの在留資格変更
就業資格で在留していた外国人が、永住許可を受けた場合、その配偶者は、従前の「家族滞在」から「永住者の配偶者等」へ在留資格の変更ができます。

扶養している未婚、未成年の実子の「家族滞在」からの在留資格変更
就業資格で在留していた外国人が、永住許可を受けた場合、扶養している未婚、未成年の実子は「家族滞在」から「定住者」へ在留資格変更ができます。

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