在留資格 「企業内転勤」

「企業内転勤」とは・・・人事異動により外国にある日本企業の子会社や関連会社などから日本の本店・支店への転勤や系列企業内の転勤や出向する専門職などを受け入れるために設けられた在留資格です。 この在留資格は、「技術」、「人文知識・国際業務」の在留資格に相当する活動に従事することが必要で、単に事務職や単純作業などの専門性のない活動は対象とはなりません。

「技術」、「人文知識・国際業務」、「企業内転勤」・・・「技術」が理科系分野の活動であるのに対し、「人文知識・国際業務」は文化系分野の活動になり、「企業内転勤」は、「技術」、「人文知識・国際業務」に相当する活動に従事する在留資格ですが、特定の事業所における期間の定めがある活動である点において異なります。

在留資格該当性(どのような人が該当しているか?)

 「日本に本店、支店その他事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が、日本にある事業所に期間を定めて転勤し、その日本の事業所において行う「技術」linkicon又は「人文知識・国際業務」linkiconに相当する活動をいいます。

公私の機関・・・民間企業、公社、公団、JETRO、経団連などが含まれます。

「期間を定めて」・・・在留期間の更新は許可されますが、辞令などによって派遣期間が明記されている必要があります。 平成24年7月(予定)から、在留期間が最長5年に変更されることから、この期間を目安に派遣期間を定めると良いと思います。

「転勤」・・・通常の同一会社内の移動や親会社・子会社・関連会社の出向も含みます。
本社←→支店、子会社←→親会社←→関連会社、親会社←→子会社←→孫会社←→曾孫会社などが可能となります。

その日本の事業所において・・・活動する事業所は特定の事業所においてしか行うことはできません。

「技術」又は「人文知識・国際業務」に相当する活動・・・「技術」と「人文知識・国際業務」の在留資格の両方の活動ができますので、同一事業所内での配置転換が可能です。 また、日本で従事する職務と外国で従事していた職務は同一又は関連している必要はありませんが、関連している職務の方が有利に審査されると思います。

転勤者が経営管理に従事する場合・・・「企業内転勤」ではなく、「投資・経営」linkiconの在留資格に該当します。

上陸許可基準適合性(その在留資格で上陸するにはどのような要件があるか?)

① 転勤する直前に、外国にある本店・支店等事業所において1年以上継続して「技術」又は「人文知識・国際業務」の業務に従事し
② 日本人と同等額以上の報酬を受けること
がこの在留資格の許可基準となります。

「1年以上継続して」・・・転勤する直前の1年以上継続して「技術」又は「人文知識・国際業務」に属する業務に従事することが求められますが、直近1年間に「企業内転勤」による在留期間がある場合は、その期間を合算することが認められます。(他の在留資格の期間は合算されません。) 例えば、直近の半年間は外国の事業所で勤務し、その前の半年間は「企業内転勤」で日本にある支店に勤務していたような場合は、「1年以上継続して」に該当します。

「報酬」・・・日本人と同等額以上の報酬を受けること。 報酬の支払いは、外国にある事業所からの送金も認められます。 「技術」や「人文知識・国際業務」の在留資格は、海外からの送金は認められません。

事業所の適正・安定性・継続性が求められる・・・日本にある事業所及び派遣元の外国にある事業所共に事業の適性・安定性・継続性が求められます。

「企業内転勤」と「技術」「人文知識・国際業務」のちがい

 「企業内転勤」の在留資格で行う活動は、「技術」又は「人文知識・国際業務」の在留資格で行う活動と次の点で相違しています。
① 企業内転勤は、日本での活動が一定の転勤期間を定めた活動であること
② 転勤した特定の事業所で活動すること(「技術」、「人文知識・国際業務」は、在留資格に属する活動をする限り、転職により他の事業所に移る事ができます。)
③ 「技術」、「人文知識・国際業務」の上陸許可基準には学歴・実務要件があるが、「企業内転勤」にはそれがない代わりに直近1年間の在籍要件がある。
④ 「技術」と「人文知識・国際業務」の在留資格の両方の活動ができる。  システムエンジニア(技術)として日本の事業所に転勤し、在留期間中に通訳業務(国際業務)に配置転換することも可能です。 両方の活動を行う必要性がなく、「技術」又は「人文知識・国際業務」の上陸許可基準である学歴・実務要件を満たしている場合には、「技術」又は「人文知識・国際業務」の在留資格を選択する方が立証書類も少なく良いと思います。

1年以上継続して業務に従事していない場合

 1年以上継続して業務に従事しておらず、「企業内転勤」の在留資格に係る上陸許可基準に適合しない場合には、「技術」「人文知識・国際業務」の在留資格を検討します。

「技術」又は「人文知識・国際業務」の在留資格に該当する場合には、転勤期間を一定期間に制限しなければ、「技術」又は「人文知識・国際業務」の在留資格をもって入国することが可能となります。

「技術」や「人文知識・国際業務」の在留資格で入国する場合、同一法人の外国の事業所から日本の事業所へ転勤する場合は、日本にある外国法人の本店・支店等との関係で新たに雇用契約を締結する必要はありません。

「企業内転勤」から「技術」「人文知識・国際業務」への在留資格変更

 「企業内転勤」で在留中に別の企業へ転職して、「技術」「人文知識・国際業務」への在留資格変更する場合、「企業内転勤」には、外国企業での直近1年以上の在籍要件がありますが、学歴・実務要件がありません。 「技術」「人文知識・国際業務」は学歴や実務要件があるため、それを満たしている必要があります。

このページの先頭へ戻る