退去強制(入管法 第24条)

taikyo 「退去強制」は、報道等で一般的に「強制送還」と呼ばれているものです。 国際法上、外国人の入国・在留の許可については国家が自由に決定でき、在留中の外国人について、国家が好ましくないと認める外国人など一定の事由に該当した場合、行政手続による強制力によって国外に退去させることができます。

入管法 第24条には、「退去強制事由のいずれかに該当する外国人については、退去強制手続により、日本からの退去を強制することができる。」(一部編集)と規定されており、退去強制事由が列記され、在留中の外国人がこれらに該当する場合は、退去強制手続により国外退去を強制することができます。 「退去を強制することができる」のであって「退去を強制しなければならない」とは規定されていません。 ここに、法務大臣の裁量による「在留特別許可」linkiconを求めることができます。

退去強制と刑事罰・・・このページへのアクセスは多く、退去強制への関心は高いように思いますが、退去強制手続き前に刑事罰のあることを認知されていないようです。 行政罰である退去強制と刑事施設に拘置される刑事罰は別個の手続きです。 例えば、資格外活動によって摘発→起訴→裁判により懲役刑となることがあり、刑事施設での服役中又は服役後に、退去強制手続きとなります。 単に退去強制されるだけではないのです。

<参照リンク:罰則>

入管特例法による「特別永住者」の扱い

 入管特例法による「特別永住者」は、入管法上の退去強制の適用は受けず、「特別永住者」の退去強制事由は、日本の統治を破壊するような内乱を起こしたり、外国との国交に関する罪を侵して刑に処せられた者など重大な国家の利益が侵害された場合に限定されています。

<参照リンク:特別永住者>

退去強制事由 toicon

 以下の表は退去強制事由ですが、退去強制手続きを執る退去強制事由で最も多いのは「不法残留」で、全体の8割弱を占め、次いで「不法入国」、「資格外活動」の順となり、これらの約8割弱は不法就労しています。 
※     は、要件に該当すれば出国命令制度の利用により自主出国できるケースです。
※     は、刑事裁判の結果により退去強制事由に該当し、その他は、刑事裁判に関係なく退去強制となります。

退 去 強 制 事 由
不法入国者 偽造旅券や有効期限を過ぎている旅券など有効な旅券を所持せず入国した(日本の領海・領空に入った)者や有効な旅券を所持しているが、正規な上陸手続を受けずに上陸する目的を有して入国した(日本の領海・領空に入った)者
不法上陸者 入国審査官の上陸許可を受けずに上陸した者
2-2 在留資格取消を受け、出国猶予期間を付与されなかった者・・・上陸拒否事由非該当性を偽って上陸許可・上陸特別許可を受ける、又は、在留資格該当性を偽り上陸許可証印を受けたり、在留資格変更許可・在留期間更新許可・永住許可・在留資格取得許可を受けて在留資格を取消された者
2-3 在留資格取消を受け、出国猶予期間を付与された者・・・在留資格を取り消され、30日を超えない範囲内で出国するために必要な期間の指定を受けた者で、この期間を経過して不法に残留する者
不法入国等援助者 3 他の外国人に不正に在留資格認定証明書・上陸許可・上陸特別許可・在留特別許可を受けさせる目的で、文書・図画の偽変造、虚偽文書・図画作成、及びそれの行使・所持・提供、又はこれらの行為を教唆し、助けた者
テロリスト等 3-2 テロ(公衆等脅迫目的の犯罪)行為、テロの予備行為又はテロ行為の実行を容易にする行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として法務大臣が認定する者
3-3 国際約束により本邦への入国を防止すべきものとされているテロリスト等
不法就労助長行為 3-4 次のいずれかの行為をし、教唆し、助けた者
イ 事業活動に関し、資格外活動又は不法入国者、不法上陸者、在留資格を取消された者、在留資格を取り消され指定期間を経過して残留する者、その他不法残留者に不法就労活動をさせること。
ロ 外国人に不法就労活動をさせるために自己の支配下に置くこと。
ハ 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又はロに規定する行為に関しあつせんすること。
在留カード
特別永住者証明書の偽造・変造等
3-5 次のいずれかの行為をし、教唆し、助けた者
イ 行使目的で、在留カード・特別永住者証明書を偽造・変造、又は偽造・変造の在留カード・特別永住者証明書を提供・収受・所持すること。
ロ 行使目的で、他人名義の在留カード・特別永住者証明書を提供・収受・所持、又は自己名義の在留カードを提供すること。
ハ 偽造・変造の在留カード・特別永住者証明書又は他人名義の在留カード・特別永住者証明書を行使すること。
ニ 在留カード・特別永住者証明書の偽造・変造の用に供する目的で、器械又は原料を準備すること。
toicon専従資格外活動者※ 4-イ 資格外活動許可を受けないで、在留資格の活動以外の事業運営活動、報酬を受ける活動を専ら行つていると明らかに認められる者(人身取引等により他人の支配下に置かれている者を除く)
不法残留者 4-ロ 在留期間更新又は変更を受けないで在留期間を経過して残留する者
人身取引加担者 4-ハ 人身取引等を行い、唆し、又はこれを助けた者
処罰を受けている受けていないに関係なく退去強制できる。
刑罰法令違反者 4-ニ 旅券法上の虚偽申請等に関する罪により刑を言い渡した判決が確定した者
4-ホ 集団密入国等を助長・援助し、刑に処せられた者
toicon4-ヘ 資格外活動許可を受けないで、在留資格の活動以外の事業運営活動、報酬を受ける活動を行った非専従資格外活動者で禁錮以上の刑に処せられた者
4-ト 未成年で、少年法の不定期刑を言い渡すべき場合に、長期が3年を超える懲役又は禁錮に処せられた者(不定期刑・・・「懲役1年~3年」というように刑期を特定せず、受刑中の更正を考慮して刑を修了する。この場合長期は3年)
4-チ 麻薬・大麻・覚醒剤等に係わる取締法令違反により有罪判決(執行猶予付含む)を受けた者
4-リ 上記以外で、無期又は1年を超える懲役又は禁錮の実刑に処せられた者 ただし、執行猶予の言い渡し受けた者除く
売春関係業務従事者 4-ヌ 売春に従事する者、売春の周旋・勧誘・場所の提供・その他売春に直接関係のある業務に従事する者
不法入国助長等 4-ル 不法入国・不法上陸助長・援助者
暴力主義的・無政府主義的破壊活動関係者 4-オ 日本政府を暴力で破壊することを企て・主張する又はその主張する団体結成・団体加入している者
4-ワ 公務員への暴力、公共施設の破壊、工場事業場の安全を脅かすなどを勧奨する政党・その他団体結成・加入する者
4-カ 上記政党・団体目的を達成する為の印刷物・映画・文書図書作成し、頒布・展示する等の宣伝活動
4-ヨ 利益公安条項該当者・・・4-イ~4-カの者以外で、法務大臣が日本の利益・公安を害する行為を行ったと認定する者
刑罰法令違反者 4-2 判決確定時の在留資格が活動資格の者対象(「日本人の配偶者等」などの身分資格は対象外):住居侵す罪、通貨・文書・有価証券・印章偽造の罪、支払い用カード電磁的記録に関する罪、賭博、殺人、傷害、逮捕・監禁、略取・誘拐・人身売買、窃盗・強盗、詐欺恐喝の罪、盗品に関する罪により懲役又は禁錮に処せられた者(執行猶予付含む)
国際競技会等関連不法行為 4-3 短期滞在対象:国際競技会等経過・結果に関連して、又は妨害目的で、殺傷・暴行・脅迫・建造物破壊をした者(フーリガン対策)
刑罰法令違反者 4-4 住所地届出義務違反・虚偽の届出・在留カード更新義務違反等により懲役に処せられた者
仮上陸条件違反者 5 仮上陸許可に際して付した住居・行動範囲制限、呼出しに対する出頭義務その他条件に違反した者
退去命令違反者 5-2 上陸を許可されず退去命令を受けた者で遅滞なく退去しない者
不法残留者toicon 6 寄港地上陸・通過上陸・乗員上陸・緊急上陸・遭難上陸・一時庇護上陸許可の特別上陸許可の上陸期間を超えて残留する者
6-2 乗員上陸許可を取り消す場合に指定する期間を超えて残留する者
7 出生・国籍離脱等で上陸手続を経ないで在留することとなる外国人が60日を過ぎて、在留資格未取得で残留する者
8 出国命令に付された出国期限を経過して日本に残留する者
出国命令取消者 9 行動範囲の逸脱など出国命令に付与された条件に違反して出国命令を取り消された者
難民認定取消者 10 不正手段で難民認定を受けたことが判明した者、難民欠格事由非該当を理由に難民認定を取り消された者

[4-イ専従資格外活動者]と[4-へ非専従資格外活動者]の違い

[4-イ専従資格外活動者]は、資格外活動許可を受けずに資格外活動を専ら行つていると明らかに認められる者で、もっている在留資格の活動をほとんど又は全く行っておらず、在留目的が実質的に変更したと評価し得る程度まで資格外活動を行っている者で、刑罰の有無に関係なく退去強制事由に該当します。 一方、[4-へ非専従資格外活動者]は、付与された在留資格に属する活動を行いつつ、資格外活動許可を受けずに資格外活動を行う者で、禁錮以上の刑に処せられた者が退去強制事由に該当します。

入管法違反と退去強制事由の関係

 入管法違反はすべて退去強制事由に該当するわけではありません。 入管法違反と退去強制事由は[ 入管法違反 > 退去強制事由 ]という関係になります。 例えば、資格外活動許可を受けずにする資格外活動は入管法違反となり、罰則を規定していますが、退去強制事由となる資格外活動は、「専ら資格外活動を行っていると明らかに認められる」か、「資格外活動をして禁錮以上の刑に処せられる」かしなければ退去強制事由に該当しません。 つまり、在留資格に該当する活動を行いつつ、資格外活動許可を受けずにアルバイトなどの資格外活動を行うのは入管法違反となりますが、それについて禁錮以上の刑に処せられなければ、退去強制事由に該当しないので、退去させられることはありません。 ただし、在留資格更新において不利となります。

<参照リンク:資格外活動 罰則>

単純オーバーステイで逮捕された場合(不法残留のみで逮捕された場合)

 単純に(他の罪に問われていない)入管法違反の不法残留(初犯)で逮捕された場合には、入管法第24条4号ロの退去強制事由に該当するので、逮捕 → 勾留 → 起訴 → 公判 → 執行猶予付き判決 → 入管局へ収容 → 退去強制 → 帰国 となるのが一般的です。 裁判手続きは即決裁判手続により処理される事が多く、起訴から余り期間をおかないで公判があり、判決はその日のうちに言い渡されます。 この手続きによる場合には、懲役・禁錮刑には執行猶予が付けられます。

短期間の不法残留の場合・・・逮捕後、他に罪を犯した嫌疑のないときには、勾留されることなく収容令書が発付され、検察官に送致せず、書類・証拠物とともに入国警備官に引き渡すことができるとされており、身体を拘束した時から48時間以内に、引き渡す手続をすることになります。 入国警備官に引き渡されると入管局に収容され、退去強制手続が執られます。
「在留特別許可」の求め・・・不法残留で逮捕された外国人が、日本人や永住者の配偶者であったり、婚姻を成立させていないが同居期間が長く日本人と婚約しているような場合(婚姻を成立させる事が要件)や日本人の子の養育をしている親権者であるような場合には、退去強制手続きにおいて「在留特別許可」を求め、認められれば在留を継続する事ができます。

<参照リンク:在留特別許可>

上陸拒否事由に該当・・・単純に不法残留ですが、逮捕されているので「出国命令制度」の対象にはなりません。  不法在留罪で執行猶予付き判決であっても1年以上の懲役・禁錮の判決を受けた場合には、長期上陸拒否事由に該当します。 日本への上陸を認めてもらうには退去強制の後、一定期間経過後に「上陸拒否の特例」や「上陸特別許可」を求める事になります。

<参照リンク:上陸拒否事由 第5条4号>

<参照リンク:上陸拒否の特例>

<参照リンク:上陸特別許可>

外国人が犯罪を犯し警察に逮捕された場合

 逮捕された外国人には、日本人と同じように刑法による刑罰規定が適用されますが、これとは別に日本人には適用されない入管法の規定が適用され、退去強制もそのひとつです。

領事館通報制度・・・「領事関係に関するウィーン条約」締結国の国民が、領事管轄区域内で逮捕・留置・勾留・拘禁された場合、被疑者である外国人の通報要請があるときは、警察等の機関は領事館に通報しなければならないという制度があります。 領事官は被疑者と面談したり、弁護人をあっせんする事ができ、不当な扱いや非人道的な扱いを受けていると認める場合には、改善を申し入れる事が出来ます。 ただし、犯罪の種類によっては、2重処罰をする国もあるので、領事館への通報が本人の不利益になる場合もあります。 なお、2国間条約によって外国人の通報要請にかかわらず通報を要する国(全件通報対象国)として、英国、中国、ハンガリー、ポーランド、ロシア、ウクライナ、ウズベキスタン共和国、カザフスタン共和国、キリギス共和国、ベラルーシ共和国、アルメニア共和国、アゼルバイジャン共和国、グルジア、タジキスタン共和国があります。 

退去強制事由非該当で軽微な犯罪・・・逮捕された外国人が、強制退去事由(不法在留・不法残留など)に該当しておらず、逮捕事由も軽い窃盗などの犯罪の場合には、微罪処分として送検せず刑事手続きを終了させ釈放されますが、犯罪歴としては記録に残りますので、在留期間更新・在留資格変更許可申請においては、素行不良として在留期間が短縮されたり不許可の可能性があります。
※ 微罪処分(刑事訴訟法246条)・・・逮捕されると検察へ送致されるのが原則ですが、逮捕状の発付を受けたり、告訴・告発があって逮捕されるような場合を除き、検察官があらかじめ指定した軽微な事件については送致しない事が出来ます。

不起訴の場合・・・退去強制事由に該当している外国人が逮捕された場合には、逮捕後48時間以内に検察官へ送検 → 24時間以内に裁判所へ勾留請求 → 勾留が認めれると勾留期間(10日間、1回延長可能 計20日間)中に起訴するかどうか決定されます。 検察へ送検された場合でも、検察官が不起訴としたときには、入国警備官の収容令書又は退去強制令書により入国警備官に引き渡され → 退去強制手続となります。 退去強制事由に該当していない外国人の場合は、勾留が解かれ釈放されますが、犯罪歴としては記録に残りますので、在留期間更新・在留資格変更許可申請においては、素行不良として在留期間が短縮されたり不許可の可能性があります。

起訴される場合・・・外国人が逮捕 → 送検 → 勾留 → 起訴される場合には、公判 → 判決 → 刑執行へと進みます。 

起訴されて執行猶予付有罪判決を受けた場合・・・不法残留でなく正規に在留資格をもっていて退去強制事由に該当している場合でも、保釈された後、入国管理局へ収容をされる場合もあれば、収容されない場合もありますが、退去強制手続きは進行します。 他方、在留資格のない場合には、保釈後入国管理局へ収容され、退去強制手続きが執られます。  

判決が確定しても退去強制事由に該当していない場合 退去強制事由に該当しないので退去強制を受けることはありませんが、警察・検察から入国管理局に報告されるので、在留期間更新・在留資格変更許可申請の際には、素行不良等の理由により不許可の可能性が高くなります。
犯罪前に退去強制事由に該当していなかった外国人が、執行猶予付の有罪判決を受けたことにより退去強制事由に該当することとなった場合 判決確定後、以下のような処分を受けることになります。
①収容令書により収容される
②直ぐに入局管理局へ収容されずに、入国管理局からの呼び出しにより退去強制手続が執られる
③入国管理局へ収容されず、在留期間更新申請で不許可となり退去手続が執られる
判決前に既に退去強制事由に該当していた外国人 判決言い渡し時点で収容令書が発付されており、判決言い渡し直後に収容され、退去強制手続が執られる。

起訴されて実刑判決を受けた場合・・・行政処分としての退去強制と刑事処分である刑罰はそれぞれ別個の処分なので、元々退去強制事由に該当している外国人や懲役刑・禁錮刑の実刑を受け退去強制事由に該当する事となった外国人は、まず刑事施設(刑務所)へ収容され、服役中や服役後に、入国警備官に引き渡し入管局へ収容され、退去強制手続が進められ退去強制することになります。

逮捕、起訴等の場合の在留期間更新・・・逮捕による勾留期間中や実刑により刑事施設への収容期間中に在留期間が満了してしまうような場合には、代理申請により在留期間の更新を申請する必要がありますが、更新許可は法務大臣の自由裁量により付与され、申請者の在留中の素行・行状が審査され不許可になる事が予想されるので、不法残留となり退去強制事由に該当することになります。 また、不起訴や執行猶予付判決を得た後に在留期間が満了し、在留期間更新申請をした場合についても、不許可の可能性がありますが、帰国準備の為の在留資格(短期滞在、特定活動)が認められれば、通常の出国ができる為、退去強制を避ける事ができます。

退去強制手続

 退去強制手続きは、下図のように【入国審査官の違反審査】【特別審理官の口頭審理】【法務大臣の裁決】の三審制となっています。

■入国警備官による違反調査・・・入国警備官が違反調査を始めるのは、入国管理局・警察による摘発による場合と自ら出頭した場合です。 入国警備官は、退去強制事由に該当すると思われる外国人(=容疑者)を発見→容疑を立証する証拠資料収集し、退去強制事由に該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは、主任審査官が「収容令書」を発付し、原則として身柄を収容します。(全件収容主義)
■「収容令書」による収容は、身柄を拘束してから退去強制手続を完了させるまで原則として30日以内(延長される場合は最長60日)と定められています。

■退去強制対象者とは・・・退去強制事由linkiconのいずれかに該当し、出国命令対象者に該当していない外国人をいいます。

■入国審査官の違反審査(第1審)・・・入国警備官から引き渡された証拠資料などの調査内容を審査し、退去強制対象者に該当するかどうかを審査します。

■特別審理官の口頭審理(第2審)・・・入国審査官の認定に不服がある場合や日本での在留を希望するときは、認定の通知を受けた日から3日以内に口頭審理を請求します。 口頭審理は、入国審査官から引き渡しを受けた証拠書類を基に容疑者に対して、入国審査官の認定に誤りがないか審理する為、口頭により意見・弁解・反論を聴取する手続です。 容疑者にとって有利な証拠や資料などは審理前に提出しておきます。 この審理には、特別審理官の許可を受けて親族や知人の1人が立ち会うことができます。

adicon 行政書士は知人として口頭審理に立ち会うことができます。

■法務大臣の裁決(第3審)・・・特別審理官の判定の通知を受けた日から3日以内に、判定に不服がある場合や日本での在留を希望するときは、法務大臣に対する異議の申し出をします。 このとき、在留特別許可linkiconを求めます。 法務大臣は、上記の第1審~第2審の手続により作成された証拠書類や「在留特別許可」を願い出た書類を調べて裁決することになります。 「在留特別許可」が認められず、退去強制令書が発付されてしまった場合でも、今まで立証できなかった新たな証拠書類などを提出できれば再審を願い出ることになります。

■出国命令対象者と認められるとき・・・違反審査、口頭審理、法務大臣の採決の結果、出国命令対象者に該当すると認めるときは、主任審査官が出国命令を発付し、容疑者を放免することになります。

■「退去強制令書」・・・退去強制事由に該当すると認定され、1審又は2審でその認定に服した場合や異議申出に理由なしの法務大臣の裁決があると、「退去強制令書」が発付され、日本から退去させられ送還されることが確定します。 「退去強制令書」が発付された後は、今まで「容疑者」という立場であった外国人は、「被退去強制者」となります。 「退去強制令書」の発付があると速やかに送還しなければならないことになっていますが、直ぐに送還できない場合には、送還可能のときまで収容されます。 この収容には期間の制限はなく、送還できるときまで収容されます。 収容を解くには「仮放免」を求めて申請します。

仮放免

 一般に、入管に収容されると、「仮放免」が認められたり、「在留特別許可」が認められる場合以外は、住んでいた場所に戻る事はできません。 収容令書退去強制令書により収容されている外国人やその配偶者・直系親族・兄弟姉妹等は、入国者収容所長又は主任審査官に対し、一時的に収容を解くことができる「仮放免」を請求することができます。

adicon 行政書士は「仮放免許可申請」の申請代理人となることができます。

「在留特別許可」を求めて自ら出頭したような場合には、「在留特別許可」が得られるまで、職権で「仮放免」されることがあり、仮放免されなければ「仮放免」の申請をします。 在留特別許可が認められず、退去強制される可能性が高い場合には、「仮放免」も許可されない可能性が高いです。

<参照クリック:在留特別許可 仮放免>

在留特別許可 toicon

 「在留特別許可」とは、異議申立をした外国人が強制退去事由に該当すると認定される場合でも、法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があるとの決裁により在留を認めるものです。  この措置は、法務大臣の自由裁量権に基づき、本来は退去強制処分を受けるところを恩恵的に在留を許可されるものなので、必ず許可されるとは限りません。 また、在留特別許可を付与される場合には、在留資格を指定し在留期間を定めることになります。

<参照クリック:在留特別許可>

強制退去による送還先と上陸禁止期間

退去強制による送還先・・・退去強制処分は、原則として、その外国人の国籍国又は市民権の属する国に送還されますが、無国籍者や国籍国などへの帰国を希望しない者については、下表のいずれかへ送還されます。

日本に入国する直前に居住していた国
日本に入国する前に居住していたことのある国
日本に向けて船舶等に乗つた港の属する国
出生地の属する国
出生時にその出生地の属していた国
その他の国

自費出国と国費出国・・・自費出国する者は送還者全体の95%前後で、退去強制による出国は、通常、自費による出国となります。  自費出国により、自ら退去しようとするときは、本人の希望により送還先を指定できます。 「退去強制令書」は送還できるときまで収容できるので、本人が帰国費用を負担できない場合は、日本国内又は本国にいる関係者に連絡を取り、帰国費用の調達を指導され、収容も長期化します。 それでも帰国費用を調達できない場合については国費で出国する事になります。 なお、旅券を所持しない者については、入国管理局から在日外国公館に対して旅券発給の申入れを行っています。

退去強制を受けると上陸拒否事由に該当し、原則として5年間は上陸はできません。 また、過去に退去強制又は出国命令を受けて出国したことがある者(リピーター)は、10年の上陸拒否期間となります。 上陸特別許可を得ない限り、上陸拒否期間は、上陸を許されず退去命令(退去強制ではない。)を受けます。(被上陸拒否者)

このページの先頭へ戻る