出国命令(入管法 第24条の3)

taikyo出国命令制度とは・・・退去強制tolinkの例外措置として、不法残留者の減少を図る目的で、日本に滞在する不法残留者を自主的に出頭させて、簡易な手続により出国させる制度です。 退去強制と違い、身柄を拘束することなく(収容令書は発付されない)出国期限を指定することにより出国させる制度で、指定された出国期限の在留は合法化されます。 出国命令制度により出国した場合は、上陸禁止期間は1年と軽減されています。(退去強制による出国は、上陸禁止期間5年)

出国命令対象者

 出国命令制度は、該当する不法残留者を対象として出国命令の要件をいずれも満たす場合に適用されます。

該当する不法残留者・・・不正に入国・上陸した不法入国者・不法上陸者は対象外です。

在留期限を経過して在留する者
出生により日本に在留することとなった外国人で、在留資格を取得しないで60日を経過して残留する者 <在留資格取得>linkicon
在留資格を取り消された外国人で、期間の指定を受けて出国を命じられた者で、出国期間を経過して在留する者<在留資格取消制度>linkicon
寄港地上陸等の許可を受けた者で許可の期間を経過して残留する者
乗員上陸許可を取り消され、出国を命じられた期間を経過して残留する者

出国命令の要件

 出国命令制度を利用するには、以下の5つの要件のいずれも満たしていなければなりません。自主的に出頭しても以下の要件を満たさなければ、退去強制手続に移行します。

出国の意思を持ち、自ら入国管理局に出頭すること
※入国管理局や警察に摘発された場合は該当しません。
※「在留特別許可」を求めて出頭し、認められなかった場合には、出国の意思をもって出頭していないので該当しません。
不法残留以外の退去強制事由(3~3-5、4-ハ~ヨ、8、9)に該当しないこと(下表参照)
入国後に退去強制事由上欄4-2(下表参照)の犯罪により懲役又は禁錮に処せられたことがないこと
過去に退去強制又は出国命令を受けて退去・出国したことがないこと
速やかに出国することが確実と見込まれること(事前に帰国の為の旅券や予約航空券などを準備しておきます。)
出国命令の要件 2 不法残留以外の退去強制事由(3~3-5、4-ハ~ヨ、8、9)に該当しないこと
不法入国等援助者 3 他の外国人に不正に在留資格認定証明書・上陸許可・上陸特別許可・在留特別許可を受けさせる目的で、文書・図画の偽変造、虚偽文書・図画作成、及びそれの行使・所持・提供、又はこれらの行為を唆し、助けた者
テロリスト等 3-2 テロ(公衆等脅迫目的の犯罪)行為、テロの予備行為又はテロ行為の実行を容易にする行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として法務大臣が認定する者
3-3 国際約束により本邦への入国を防止すべきものとされているテロリスト等
不法就労助長行為 3-4 次のいずれかの行為をし、唆し、助けた者
イ 事業活動に関し、資格外活動又は不法入国者、不法上陸者、在留資格を取消された者、在留資格を取り消され指定期間を経過して残留する者、その他不法残留者に不法就労活動をさせること。
ロ 外国人に不法就労活動をさせるために自己の支配下に置くこと。
ハ 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又はロに規定する行為に関しあつせんすること。
在留カード
特別永住者証明書の偽造・変造等
3-5 次のいずれかの行為をし、唆し、助けた者
イ 行使目的で、在留カード・特別永住者証明書を偽造・変造、又は偽造・変造の在留カード・特別永住者証明書を提供・収受・所持すること。
ロ 行使目的で、他人名義の在留カード・特別永住者証明書を提供・収受・所持、又は自己名義の在留カードを提供すること。
ハ 偽造・変造の在留カード・特別永住者証明書又は他人名義の在留カード・特別永住者証明書を行使すること。
ニ 在留カード・特別永住者証明書の偽造・変造の用に供する目的で、器械又は原料を準備すること。
人身取引加担者 4-ハ 人身取引等を行い、唆し、又はこれを助けた者
処罰を受けている受けていないに関係なく退去強制できる。
刑罰法令違反者 4-ニ 旅券法上の虚偽申請等に関する罪により刑を言い渡した判決が確定した者
4-ホ 集団密入国等を助長・援助し、刑に処せられた者
4-ヘ 非専従資格外活動者で禁錮以上の刑に処せられた者
(改正法施行までは外国人登録法違反者も対象)
4-ト 未成年で、少年法の不定期刑を言い渡すべき場合に、長期が3年を超える懲役又は禁錮に処せられた者(不定期刑・・・「懲役1年~3年」というように刑期を特定せず、受刑中の更正を考慮して刑を修了する。この場合長期は3年)
4-チ 麻薬・大麻・覚醒剤等に係わる取締法令違反により有罪判決(執行猶予付含む)を受けた者
4-リ 上記以外で、無期又は1年を超える懲役又は禁錮の実刑に処せられた者 ただし、執行猶予の言い渡し受けた者除く
売春関係業務従事者 4-ヌ 売春に従事する者、売春の周旋・勧誘・場所の提供・その他売春に直接関係のある業務に従事する者
不法入国助長等 4-ル 不法入国・不法上陸助長・援助者
暴力主義的・無政府主義的破壊活動関係者 4-オ 日本政府を暴力で破壊することを企て・主張する又はその主張する団体結成・団体加入している者
4-ワ 公務員への暴力、公共施設の破壊、工場事業場の安全を脅かすなどを勧奨する政党・その他団体結成・加入する者
4-カ 上記政党・団体目的を達成する為の印刷物・映画・文書図書作成し、頒布・展示する等の宣伝活動
4-ヨ 利益公安条項該当者・・・4-イ~4-カの者以外で、法務大臣が日本の利益・公安を害する行為を行ったと認定する者
不法残留者 8 出国命令に付された出国期限を経過して日本に残留する者
出国命令取消者 9 行動範囲の逸脱など出国命令に付与された条件に違反して出国命令を取り消された者
出国命令の要件 3 入国後に退去強制事由上欄4-2の犯罪により懲役又は禁錮に処せられたことがないこと
刑罰法令違反者 4-2 判決確定時の在留資格が活動資格の者対象(「日本人の配偶者等」などの身分資格は対象外):住居侵す罪、通貨・文書・有価証券・印章偽造の罪、支払い用カード電磁的記録に関する罪、賭博、殺人、傷害、逮捕・監禁、略取・誘拐・人身売買、窃盗・強盗、詐欺恐喝の罪、盗品に関する罪により懲役又は禁錮に処せられた者(執行猶予付含む)

出国命令手続

.入国管理局へ旅券(パスポート)をもって出頭する。

入国警備官の違反調査・・・入国警備官が違反の事実を調査します。出国命令対象者に該当すると思われるときは、収容令書は発付されない。

入国審査官による審査・認定・・・入国審査官が出国命令対象者であることを審査し、出国命令対象者と認定する。 しかし、出国命令対象者でなく、退去強制対象者と疑うに足る相当の理由ありと認定されると、入国警備官に差戻し退去強制手続に移行する。

「出国命令書」の交付・・・出国命令対象者と認定されると、主任審査官は15日を超えない範囲で出国期限を決定し、住居及び行動範囲の制限その他条件を付して「出国命令書」を交付する。

.放免・・・出国命令を受けた外国人は、拘束されることなく放免されるが、「出国命令書」に付された住居や行動範囲の制限を受ける。

.出国・・・「出国命令書」の期限内に出国する。

※ 出国期限を経過して残留すると[退去強制事由上欄8]linkiconに該当する他、刑事罰linkiconの対象となりますので注意が必要です。 また、「出国命令書」に付された条件に違反して、記載された住居や行動範囲の制限を逸脱し、出国命令を取り消された場合にも、[退去強制事由上欄9]に該当し刑事罰linkiconの対象となります。  なお、本人の責めに帰さないやむを得ない事情により出国できなくなったときには、入国管理局に出頭し出国期限の延長を申し出ることができます。

   ↓

.再入国する場合・・・「出国命令書」の期限内で出国した場合、出国日から上陸拒否期間の1年経過後に上陸を認められます。

出国命令による出国と在留特別許可の求め

「在留特別許可」の可能性が高い場合(日本人、特別永住者などとの家族関係があるような場合)は、出国命令制度により出国を選択するのではなく、退去強制手続における「在留特別許可」を求めた方がよいと思います。 一旦出国した場合には、上陸禁止期間が1年とはいえ、離ればなれで暮らさなくてはならず、配偶者や子との家族間結合の継続性が損なわれる為、共に日本で暮らしながら「在留特別許可」を得る方が得策と思われます。 ただし、出国命令対象者は出国の意思をもって出頭することが要件なので、「在留特別許可」を求めて出頭した場合には、出国の意思をもって出頭したわけではないので、「在留特別許可」が認められない場合には退去強制となります。

「在留特別許可」が難しい場合や帰国しなければならないような事情がある場合には、出国命令制度を利用し、上陸拒否期間の1年を待って再入国することを選択した方が良いでしょう。

<参照リンク:在留特別許可>

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