在留期間更新許可(入管法第21条)

 在留資格には活動できる範囲と共に在留できる期間が定めてあり、在留期間が満了するまでは日本に在留できるのが原則ですが、引き続き在留しようとする場合には、在留期間の更新が必要です。 。

 外国人が日本に在留する間は、常時単一の在留資格を持って在留しなければなりません。 在留資格は在留資格の付与と同時に在留期間が定められますので、その在留期間を超えて在留する場合には、在留期間の更新手続が必要となります。

 在留期間の更新は、現に付与されている期間と同じ期間の更新を申請するのが普通ですが、長い期間の在留期間を希望することもできます。 長い在留期間を希望しても、在留状況に問題があるような場合には、短い期間しか付与されません。

在留期間を超えて滞在すると不法残留者となり入管法違反で退去強制処分linkiconとなる他、不法残留罪として刑罰linkiconが科せられます。

在留期間の満了日の計算

 在留期間は、許可日の翌日から起算され、満了日は暦に従います。
例えば、1月10日に上陸許可を受け1年間の在留期間を付与されたとすると、在留期間の満了日は、翌年の1月10日となります。 6ヶ月を付与された場合は、同じ年の7月10日が満了日となります。

在留期間を過ぎてしまってからの更新申請

在留期間満了日が入国管理局閉庁日の場合・・・直近の開庁日に提出すれば、通常の申請受理期間内の申請として受理されます。

特別受理・・・入管法上の明文規定はありませんが、在留期間を過ぎてしまってからの更新申請であっても、天災、事故、疾病などの事情やその他入管局が認める場合で、かつ、更新許可が確実と見込まれる場合には、更新申請を特別に受理してくれます。

ついうっかりして在留期間更新手続をしていない場合・・・ついうっかりしていて在留期間更新手続きをしておらず、在留期間を過ぎてしまった場合には、不法残留となり退去強制手続きが執られることになります。 特別受理が認められればいいのですが、認められない場合には、在留特別許可linkiconを求める事になります。 この場合、在留期間を過ぎた日数が短期間で、在留状況が良好な場合には許可される場合があり、前と同じ在留資格が付与されますが、在留期間は1年となることが多いようです。
在留特別許可が付与されない場合には、単に在留期限を過ぎてしまって不法残留者であって出国命令対象者に該当する場合は、出国命令linkiconにより出国することになります。

在留期間更新手続きの時期(特例期間)

 在留期間の更新申請は、在留期間満了の3ヶ月前~在留期間満了日までにしなければなりません。 この期間内に申請受理されていれば、審査中に在留期間が経過しても、審査結果が出るとき又は在留期間満了日から2月を経過する日のいずれか早い日までの間(特例期間)は、適法に在留することができます。 そしてこの期間内は、引き続き就労は可能で、在留期間中に受けていた資格外活動許可(平成22年7月1日以前の許可は再取得しなければならない)は有効で、再入国許可(1回限り)を受けることも可能です。 しかし、できるだけ早めに更新手続きをした方がよいでしょう。
※ 特例期間について、在留期間満了日から2月を経過する日については、入国管理局が閉庁日の場合でも、その日を経過すれば直ちに不法残留となります。

在留期間更新手続

【手続機関】外国人の住所地を管轄する入国管理局で更新申請。

【手続のながれ】
在留期間更新申請・・・申請が受理されると旅券に「申請受理印」が押印されたり、「申請受理票」が交付される。

.在留期間更新が許可されると、在留期間更新許可通知のはがきが1週間程度で送付される。

更新が許可された場合 → はがきと旅券を持参すると、旅券に証印を貼ってくれる。

 ↓
.通知の郵便が簡易書留になっていたり、出頭日時が具体的に記載されている場合は、不許可の場合が多く、出頭後そのまま収容されて退去強制手続が開始される可能性があります。

在留期間更新許可の考慮要因

 在留期間の期限が近づき、転職や身分変動がない場合には従前と同じ在留資格なので在留期間の更新手続きをします。 転職により従前の在留資格に該当しない業務に従事したり、離婚などにより身分変動がある場合には、在留資格変更の手続きをしなければなりません。 以下は在留期間更新の許可において考慮される要因です。

① 在留資格該当性・・・行おうとする活動が入管法の在留資格に該当すること

② 上陸許可基準適合性・・・「投資・経営」、「法律・会計」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術」、「人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「興行」、「技能」「特定活動の一部」「留学」、「研修」、「家族滞在」の在留資格については、上陸許可基準に適合していること
※上陸許可基準は上陸許可申請において求められる要件ですが、在留期間更新についても原則として求められます。

③ 素行が不良でないこと・・・刑事処分を受けた行為、不法就労をあっせんする行為などを行い、懲役、禁固、罰金に処せられたり、日常生活における違反行為等を繰り返すなどがないこと

④ 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること・・・所得税・住民税を納付していれば一応要件は満たすと思われます。申請人単独でなくても世帯単位で安定した生活が見込まれれば可、生活保護を受けていても人道上の理由が認められれば可。

⑤ 雇用・労働条件が適正であること・・・労働関係法規に適合していること。

⑥ 納税義務を履行していること

⑦ 外国人登録法に係る義務を履行していること・・・外国人登録法に定める新規登録申請、変更登録申請等の義務を履行していること。

※ 相当性について・・・在留期間更新についての入管法条文は、「相当の理由があるときに限り、これを許可することができる。」としています。 この条文は、在留資格変更の許可は法務大臣の自由裁量により与えられることを意味し、許可不許可の判断については、在留資格該当性、上陸許可基準がある在留資格についてはその適合性、在留の必要性、外国人の在留状況、国内外の諸情勢等を総合的に考慮することを意味します。

短期の在留期間

 在留資格認定証明書の交付を受けて、初めて入国する場合には、短期の在留期間が付与されるのが一般的ですが、在留状況に問題がなく引き続き在留を希望し更新を継続していると、長期の在留期間が付与されるようになります。 何度更新しても短期の在留期間しか付与されない場合は、入国管理局では、申請内容に疑義があり不審をもっていることが考えられ、突然不許可となる可能性もありますので注意が必要です。

在留期間更新申請が不許可となった場合

 在留期間更新申請が不許可となった場合は、下図の手続により処理されます。

出国準備目的で付与される「特定活動」は、在留期間が1ヶ月又は必要に応じて月単位で定められ、就労活動は認められません。

「特定活動」からの在留資格変更の再申請・・・再度、「特定活動」から在留資格変更許可を求めて再申請する場合には、入国管理局へ事前相談・事情説明をして、再申請についての了解を得ておく必要があります。

出国を目的とする「特定活動」の在留資格へ変更して出国した場合は、適法に在留し出国したことになりますので、上陸拒否事由に該当しませんが、退去強制手続により出国した場合は、上陸拒否事由に該当するため、原則として5年間は上陸が認められなくなります。

「就労資格証明書」交付による不許可リスクの回避
在留資格変更を要しない転職をした場合、「就労資格証明書linkicon」の交付を受けておけば、あらかじめ在留資格に該当する業務であるかどうか、上陸許可基準のある在留資格の場合はその基準に適合しているかどうかを審査することになるので、在留期間更新のとき、不許可処分となるリスクを回避でき、スムーズに更新が許可されます。

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