資格外活動許可(入管法第19条第2項)

 資格外活動許可は、在留資格で認められた範囲以外の活動を認めるもので、許可を得ないで在留資格外の就労をすると不法就労となります。

 日本に在留する外国人は、許可された在留資格の範囲の活動は認められていますが、許可された範囲以外の活動で報酬を得るなどの就労は認められておらず、「家族滞在」「留学」などの在留資格の外国人は、そもそも就労することは認められていません。

資格外活動許可とは、もっている在留資格に認められている活動以外の活動で、臨時的又は副次的に収益活動を行うことについて許可制度を定め、あらかじめ資格外活動の許可を受けた外国人には、在留資格の活動以外の許可された収益活動を行うことを認めています。
たとえば、就労に制限のない「永住者」、「永住者の配偶者等」、「日本人の配偶者等」、「定住者」の在留資格以外は、単純労働業務に就くことを認めていませんが、「留学生」が学費その他必要経費を補う目的でするアルバイトは、包括的な資格外活動が認められています。(風俗営業等関連業務に従事することは認められない。)

「資格外活動許可書」の交付・・・法務大臣の資格外活動の許可を受けた場合は、「資格外活動許可書」が交付され、許可書には許可された活動内容、活動できる期間が明記され、その許可された活動に限り収益活動をすることができます。 資格外活動許可申請は、入国管理局で行いますが、新規入国者で「留学」の在留資格が決定され「在留カード」を交付された方は、空港でも申請できます。

資格外活動とは

 資格外活動は、在留資格該当性の存否を問題としており、付与された在留資格で認められた活動以外の活動で、行おうとする活動が収入のある事業を行う又は報酬を受ける活動である場合は、資格外活動となります。 実際に業務について働いている・いないという就労実態の有無でなく、継続して収入・報酬を受けていれば資格外活動になると思われます。

在留資格で認められている活動の範囲内の活動は資格外活動でない

 例えば、「人文知識・国際業務」の在留資格をもつ外国人が、平日は雇用先で通訳業務をし、休日に報酬を受けてする翻訳のアルバイトは、資格外活動ではありません。

就労でない活動は資格外活動でない

 資格外活動の対象は、「収入のある事業を行う又は報酬を受ける活動」なので、収入や報酬を伴わなければ資格外活動にはなりません。 収入や報酬を伴わない活動なので、例えば「技術」の在留資格をもっている外国人が、昼間は雇用先でシステム・エンジニアの業務に就き、夜間はスキルアップの為大学へ通っているような場合には資格外活動ではありません。 また、報酬を受ける活動でも、業として行うものでない講演・講義、助言・鑑定、催物への参加、親族等の依頼による日常家事への従事、留学生の教育・研究補助活動に対する報酬や謝金など一定の臨時の報酬を受ける活動は、資格外活動ではありません。 

就労でない活動を専ら行った場合

 付与された在留資格の活動を行わないで、就労でない活動を専ら行っている場合は、資格外活動には該当しません。 例えば、「技術」の在留資格で上陸許可を受けた外国人が、勤務先を辞めて「技術」の在留資格の活動を行わないで、大学へ通っているような場合、大学で就学することは就労活動でなく資格外活動には該当しませんが、次回の在留期間更新は在留資格該当性がないとして不許可となります。 在留期間更新前にこの事実(在留資格の活動を正当な理由がないにもかかわらず、継続して3月以上行わないで在留している)が発覚すれば、在留資格取消linkiconを受け、出国することになります。 また、「大学へ行く」という本来の目的を偽って上陸許可を受けていたような場合には、入管法違反となり退去強制事由に該当します。

在留資格取消事由 行政処分
6.活動資格をもって在留する者が、付与された在留資格の活動を正当な理由がないにもかかわらず、継続して3月以上行わないで在留している場合 出国期間の指定有
指定期間内に適法に出国

資格外活動許可の要件

 資格外活動許可を受けるには、原則として以下の要件が有ります。

1.もっている在留資格の活動を妨げる資格外活動でないこと。

2.もっている在留資格の活動を維持継続していること。

3.資格外活動許可を受けようとする活動が、単純労働でないこと

4.資格外活動許可を受けようとする活動が、風俗関係に従事する活動、公序良俗に反するおそれのある活動、法令で禁止されている活動でないこと。

5.在留状況に問題が無く、許可することが適当であること。

もっている在留資格と資格外活動許可の関係

定められた範囲の就労が可能な在留資格をもっている場合

「技術」や「人文知識・国際業務」などの在留資格をもっている外国人が、その在留資格で認められた活動以外で、報酬を受ける就労活動をする場合には、資格外活動許可が必要となります。 資格外活動許可においても原則として単純労働は認められません。 よって、「人文知識・国際業務」の在留資格をもって雇用先で通訳業務に従事する傍ら、夜間にレストランのウェイトレスの仕事をすることは、単純労働に該当する為、原則として資格外活動許可は受けられません。

就労することができない在留資格をもっている場合

「留学」や「家族滞在」などの元々就労することを目的としていない在留資格は、収入を伴う活動をする場合には資格外活動許可を受けなければ就労できず、資格外活動許可を受けることにより一定の制限内で就労が認められます。

■「短期滞在」・・・特別の事情があり、特に許可するのが相当と認められる場合に許可されることがあります。

■「留学」・・・留学中の学費や必要経費を補う目的でアルバイトを行う為の活動については、1週について28時間以内であれば、資格外活動を特定しないで包括的に許可され、単純労働についても認められます。

■「家族滞在」・・・1週について28時間以内であれば、単純労働についても認められ、包括的に許可されます。
※ 資格外活動には、就労の時間数を定めて許可する「包括許可」と就労する機関や業務内容を指定して許可する「個別許可」があり、「包括許可」の場合は、勤務先を特定せず、時間数の制限内であれば資格外活動ができる。

就労制限がない在留資格(身分や地位に基づく在留資格)をもっている場合

「日本人の配偶者等」や「定住者」などの在留資格は、身分や地位に基づく在留資格なので、在留活動の範囲に制限を設けていません。 よって、就労に制限はなく、家計を助ける為のパート・アルバイト等の単純労働も可能で、資格外活動許可は不要ですが、その身分や地位に相応しい活動をすることが要請されており、風俗関係などの就労については、在留資格更新において不許可となることがあります。

就労の有無及び制限 在留資格 資格外活動許可の対象
定められた範囲の就労が可能な在留資格 外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、技能、興行、技能実習、特定活動 対象
就労することができない在留資格 文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在 対象
就労制限がない在留資格 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等
定住者、特別永住者
元々制限がないので対象外

資格外活動許可の取り消し (第19条3項)

 資格外活動許可を受けている者が、①許可の条件に違反した場合、②与えられた在留資格についての活動を行っていない場合、③その他資格外活動許可を与えておくことが適当でないと判断された場合には、資格外活動許可が取り消されます。

資格外活動を行った場合の罰則(不法就労・資格外活動罪)

 下図は資格外活動についての概要図です。 資格外活動許可を受けないで在留資格に定められた範囲外の就労活動をした場合には、不法就労や資格外活動罪linkiconとなり退去強制の対象となる場合があります。 罰則を受けなくても、在留期間更新などにおいて、在留期間短縮や不許可となることがあります。 また、不法就労助長行為をした外国人も退去強制事由に該当します。 退去強制手続により送還された場合には、5年間上陸を許可されません。

shikakugai
退去強制事由非該当 非専従資格外活動者・・・資格外活動を行い、禁錮以上の刑に処せられなかった者
退去強制事由 4-ヘ 非専従資格外活動者・・・資格外活動を行い、禁錮以上の刑に処せられた者
4-イ 専従資格外活動者・・・資格外活動を専ら行つていると明らかに認められる者(人身取引等により他人の支配下に置かれている者を除く)
3-4 不法就労助長行為
イ 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせること。
ロ 外国人に不法就労活動をさせるために自己の支配下に置くこと。
ハ 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又はロに規定する行為に関しあつせんすること。

※[4-イ専従資格外活動者]と[4-へ非専従資格外活動者]の違い
[4-イ専従資格外活動者]は、資格外活動を専ら行つていると明らかに認められる者で、在留目的が実質的に変更したと評価し得る程度まで資格外活動を行っているような者が該当し、[4-へ非専従資格外活動者]は、付与された在留資格に属する活動を行いつつ、資格外活動許可を受けずに資格外活動を行う者です。 [4-へ非専従資格外活動者] は、禁錮以上の刑に処せられた者は退去強制事由に該当しますが、処せられなかった者は退去強制事由に該当しません。

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